ノブレス・オブリージュの意味と語源や「新しい資本主義」について

薔薇

最近二日連続で深夜に地震があったので、YouTubeで「地震・噴火・温暖化は今後どうなるか?」という動画を見ていたら「ノブレス・オブリージュ」という言葉が出てきました。(参照:YouTube

ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)はフランス語に由来する言葉です。

フランス語でノブレス(noblesse)は「貴族、高貴さ」、オブリージュ(oblige)は「強いる、義務を負う」という意味があり、日本語に直訳すると「高貴さは義務を強制する」と訳されています。具体的には「富や権力があるものは社会的な責任を伴う」という感じで使われます。

ごがくねこ
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お金持ちや権力者になるほど利己的だけではダメだよということですね。19世紀頃のフランス、古くは古代ローマなどから存在する、平等主義に基づく考え方です。

オブリージュ(oblige)は、英語でも同じ単語がありますが、共通の語源を持っている同根語(cognate)です。名詞はobligation(義務)ですね。この言葉は、元々ラテン語で「拘束する」を意味するobligareという言葉に由来し、比喩的に「義務を負う」という意味で使われるようになりました。

参照:obligation – Etymology

他の言語でもほとんど同じスペルなので、多言語学習者にとってはお馴染みの単語ですね。

英語:obligation
イタリア語:obbligazione
オランダ語:obligatie
スペイン語:obligación
フランス語:obligation
ポーランド語:obligacja
ポルトガル語:obrigação
ルーマニア語:obligație

スペイン語やポルトガル語の場合、「義務」という意味だけでなく「義理、恩義」などの意味もあります。ポルトガル語の場合はより「感謝」の意味合いが濃く、形が違うobligadoは「ありがとう」を意味する言葉になっています。

ノブレスオブリージュは、現代社会でいう企業の社会的責任(CSR)が分かりやすい例かもしれません。CSRはCorporate Social Responsibilityの略語です。パナソニック創業者の松下幸之助氏の言葉にも「企業は社会の公器」という名言があります。企業は個人ではなく社会の一部(公器)であるという考え方です。

最近は「新しい資本主義」や「富の再分配」が一段と話題になっているので、ノブレス・オブリージュの考え方がまた脚光を浴びるかもしれません。新しい資本主義は、2021年に岸田文雄首相が掲げた政策として話題になりましたが、もう少し前からある考え方です。新しい資本主義に関しては、2009年の本ですが原丈人(はらじょうじ)氏の新書が読みやすくて分かりやすいと思います。岸田首相が提唱する「新しい資本主義」も、原さんの理論が骨格になっているようです。

現在の株主や国家主体の資本主義ではなく、社会全体の利益である「公益」を重視しようという考え方です。「公益資本主義」とも呼ばれています。このような本を書いた背景には、2008年のリーマンショックの影響が大きかったようです。新自由主義や拝金主義に対する反動ともいえます。

ノブレス・オブリージュのように、社会的責任を求める考え方は古くから存在していました。解釈の仕方も様々で、例えば第4代台湾総統の李登輝(りとうき)氏は、日本の武士道とノブレス・オブリージュを関連付けています。

ヨーロッパの騎士道にも通ずる倫理観かもしれません。

財産や地位を持っている人たち(貴族)に対して社会的責任を求める主張は、貧しい人やみんなが快適に生活するためには理想的な考え方とも言えます。

ただ、批判がないわけでもありません。例えばマルクス主義者曰く、「彼ら貴族の特権を認めるようなものだ!」という見解もあります。つまり、上流層に義務を課すとか以前に、元から平等の社会を実現しろってことですね。

ごがくねこ
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賛否ありますが、ノブレス・オブリージュという考え方はこれからまた脚光を浴びるのではと思います。

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