きのこは野菜ではなく菌類?植物と野菜と菌類の違いとは

キノコ雑学・コラム

キノコの分類って複雑ですよね。

前回、野菜やキノコに関する英語とスペイン語の単語集を作成した際に、きのこの分類について調べたので、今回は自分のメモも兼ねてまとめてみました。

厳密にはキノコは野菜とは言えないようです。

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きのこは植物ではない

キノコ

分類学上では、キノコは菌類に分類されています。植物よりカビやコケに近い存在です。

そもそもキノコの本体は、菌糸が集まって作られている、胞子を作るための器官です。この器官は子実体(しじつたい)と呼ばれていて、菌糸が積み重なって重なって、肉眼で見えるようになった状態がキノコと呼ばれています。

ごがくねこ
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カビも菌糸の集まりで出来ている菌類の一種です。

そのため、植物とは異なります。

植物と菌類の大まかな違いをあげると2点あります。

  1. 菌類は、葉緑体がないので光合成ができない
  2. 菌類は、栄養を採取する方法が植物と異なる

菌類は、自分から餌を取る動物や、光合成を行う植物とは違って、菌糸を広げて栄養を吸収します。そのため菌類は、動物、植物と並ぶ第三のグループにも位置付けられています。

きのこも昔は植物だった

キノコが植物に分類されていた時代もありました。

ごがくねこ
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生物分類学で菌類がどのように扱われてきたのか、について簡単に振り返りたいと思います。

最も古典的な考え方は、生物界を動物界植物界の2つに分ける「二界説」です。二界説は18世紀に「分類学の父」とも呼ばれるスウェーデンの生物学者・リンネが提唱した考え方で、生き物を「動物」と「動物以外(=植物)」に分類しました。この二界説では、菌類は動物ではないという理由から、菌類は植物に分類されました。

ただ、微生物や単細胞生物など、今まであまり知られていなかった生き物が認知されるようになり、どうやら動物と植物で2分類するには限界があるようだ、という考え方が出始めました。20世紀には、植物動物原生生物モネラの5つに分ける「五界説」が提唱されました。

ごがくねこ
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原生生物はミドリムシやアメーバなど、モネラは細菌などが例としてあげられます。

五界説の提唱者で最も有名なのが、アメリカの生物学者・ホイッタカーです。ホイッタカーは「生き物が栄養摂取をする方法」に注目して、「生産者」「消費者」「分解者」の3つに分類しました。

  1. 生産者:光合成を行う植物
  2. 消費者:自分で餌を取る動物
  3. 分解者:表面で栄養吸収を行う菌類

この3つ目の分解者が菌類にあたるわけです。

ただ残念なお知らせがあり、教育界などではまだまだ有力な五界説ですが、既に古い理論になりつつあるそうです。電子顕微鏡や解析技術などの発展によって、微細構造の研究が飛躍的に進んだからです。

ごがくねこ
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新しい発見があるたびに常識も変わりますね。

そんなわけで、常にアップデートされ続ける分類学も絶対がある学問ではなく、とりあえずのところ「きのこは植物ではない。菌類である」という結論になりますが、この結果が変わることもあるかもしれません。

きのこは野菜ではない

きのこは野菜でもありません。

野菜とは、食用の草本植物のことを指すからです。草本(そうほん)は木にならない植物のことです。つまり、

  1. キノコは菌類なので植物ではない。
  2. 野菜は食用の草本植物である。
  3. キノコ植物ではないので野菜でもない。

という感じになると思います。

ごがくねこ
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三段論法で一件落着です。

きのこの語源は「木の子」

キノコ
ちなみにキノコの語源は、木を切り倒したところによく生えていることから、「木の子」と書いて「きのこ」と呼ばれるようになったそうです。

とはいえ、キノコを漢字で書くと舞茸や椎茸のように「茸」と書きますが、「木の子」とは書かないですよね。

生物学的には植物ではないので木の子供ではありませんが、一緒に育っているのならそれはもう養子みたいな存在かもしれません。

mushroom(きのこ)はmoss(苔)と同じ語源?

ちなみに、英語ではキノコはmushroom、菌類は fungi(単数形はfungus)と言います。

もともとmushroomは菌類全般を指す言葉でしたが、15世紀頃に食用などのキノコにも適用されるようになりました(参照)。「きのこが菌類なのか」、という分類学の歴史とも関係していそうですね

mushroomの語源をもう少しを調べてみると、英語のmushroom(きのこ)とmoss(苔)は同じ語源の可能性もあるそうです。というのも、英語のmushroomは、フランス語のmousse (苔、ムース)から借用したとする説があるからです。

つまり、英語のmossとフランス語のmousseは同根語、英語のmushroomとmossは二重語、と言えるかもしれません。

二重語(doublet)とは、1つの言語の中において、同じ語源なのに違う意味やスペルを持つ単語のこと、同根語(cognate)とは、別の言語にある、同じ語源の単語のことです。

イメージ的にはキノコもコケも似ていますからね。

ごがくねこ
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長くなりそうなので語源についてはこの辺で。

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まとめ

まとめると「キノコは植物や野菜とは言えない」ようです。

分類学上では、キノコは菌類に分類されているので植物ではありません。どちらかというとカビやコケに近い存在です。また、植物ではないので食用の草本植物である野菜でもありません。

菌類と植物の大きな違いは以下の2点です。

  1. 菌類は、葉緑体がないので光合成ができない
  2. 菌類は、栄養を採取する方法が植物と異なる

昔はキノコなどの菌類が植物だった時代もありました(二界説)。ですが、栄養摂取の方法などから、菌類と植物は違う分類になりました(五界説)。ただ、現在では五界説も古い理論になりつつあるようです。そのため「キノコは植物や野菜ではない」という結果もいつか変わることがあるかもしれません。

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