日本を代表する薬味「わさび」。海外でも寿司ブームに伴い、今ではそのまま「wasabi」で通じる言葉になっていますが、英語圏の人々への説明の仕方や、現地ならではの事情を探ると、興味深い雑学が見えてきます。
英語でわさびがどんなものか説明する際、最もよく使われるのが「Japanese horseradish」という表現です。「horseradish」はローストビーフなどに添えられる「西洋わさび」のこと。実は、海外の一般的なスーパーやレストランで提供されている「wasabi」の多くは、この西洋わさびに緑色の着色料とマスタードを混ぜた代替品です。そのため、日本固有の植物からすりおろした本物のわさびを指す場合は、あえて「real wasabi」や「authentic wasabi(本物のわさび)」と強調して区別することがあります。
わさび独特の「辛さ」を英語でどう表現するかも面白いポイントです。唐辛子のような口の中がヒリヒリ燃えるような辛さは「hot」や「spicy」と言いますが、わさびのように鼻にツーンと抜ける刺激的な辛さは「pungent(鼻をつく、刺激的な)」や「sharp(鋭い)」と表現されます。わさびを食べた外国人がよく口にする「It clears my sinuses!(鼻の通りが良くなった!)」というフレーズは、わさびの効能を的確に表した英語圏ならではのリアクションです。
また、わさびの適量を英語で伝える表現も覚えておくと便利です。わさびは数えられない名詞(不可算名詞)なので、ほんの少しだけ付けたい時は「a dab of wasabi(少量のわさび)」と言います。「dab」は軽くポンと置くような量を指す言葉です。逆に、海外の和食レストランで「さび抜き」を頼みたい時は、シンプルに「No wasabi, please.」で通じます。
さらに近年では、「wasabi」という言葉の持つ「緑色」や「ピリッとした刺激」というイメージから、ファッション業界で鮮やかな黄緑色を「wasabi green」と呼んだり、ちょっとした言葉遊びとして刺激的なものをわさびに例えたりすることもあります。
このように、日本の伝統的な食材である「わさび」は、海を渡って英語圏でも独自のポジションを築きつつあります。辛さの表現の違いや「本物」をめぐる現地の事情を知ると、海外の人と日本食を楽しむ際の会話がより一層弾むのではないでしょうか。
