日本語で「パン」といえば、食パンやクロワッサン、菓子パンまで含めた幅広い意味で使いますよね。ところが英語の「bread」は、実は少しイメージが違います。
英語で「bread」といった場合、基本的には「小麦粉をこねて焼いた主食としてのパン全般」を指します。つまり「食事用のパン」というニュアンスが強く、甘いクリームパンやメロンパンはそのまま「bread」と呼ぶと少し不自然に感じられることがあります。そういう場合は「sweet bread」や「pastry」という言葉の方が近いです。
また、日本で「パン」といえばふんわり柔らかい食感を思い浮かべますが、英語圏の「bread」といえば、どちらかというと外はカリッと中はしっかりした「ハード系」が主流です。旅行先で「bread」を注文して「あれ、思ったのと違う…」と感じるのは、この文化的な違いによるものです。日本に住む外国人に聞いてみると、「日本のパンは柔らかすぎる」という意見もよく耳にします。
さらに面白いのは、「bread」が比喩的に「お金」を意味することがあることです。「He needs to earn some bread.」といえば「彼はお金を稼ぐ必要がある」という意味。日本語の「メシのタネ」と少し似ていますよね。
ちなみに、日本語の「パン」はポルトガル語の「pão」から来ています。16世紀に宣教師とともに伝わった言葉が、今もそのまま使われているんです。英語では「bread」と呼び、日本語では「パン」と呼ぶ。同じ食べ物でも言葉が違うことで、文化の背景が透けて見えるのが面白いところですね。