日本語では「家」とひとことで言いますが、英語にはいくつかの表現があり、それぞれ微妙に意味が違います。いちばん基本は「house」と「home」。どちらも「家」と訳せますが、ニュアンスが異なります。
「house」は建物としての家を指します。たとえば「a big house」といえば「大きな一軒家」というイメージです。一方「home」は「住まい」「家庭」といった感情的な側面が強い言葉です。「My house is near the station.」は「私の家は駅の近くにある」という客観的な説明ですが、「My home is near the station.」と言うと、住んでいる場所としての「家庭」のニュアンスが加わります。さらに「I’m home.(ただいま)」のように使うのも「home」ならではですね。
住まいの形によっても言い分けがあります。「apartment」は集合住宅の一室、「condo(condominium)」は分譲マンションの一室。「flat」という単語は主にイギリス英語で使われ、アメリカ英語では「apartment」が一般的です。「cottage」は田舎の小さな家、「villa」はリゾート地の大きな別荘風の家を指します。「hut」は小屋や簡易的な住まいです。
また、日常会話では「place」という表現もよく使われます。「Come to my place.」と言えば「うちにおいでよ」というカジュアルな言い方。「house」や「home」よりも柔らかく、若者がよく使う表現です。
興味深いのは、「house」と「home」が比喩的に広がっていることです。「the House of Commons(イギリス下院)」のように「議会」を表す用法もあれば、「homework(宿題)」や「hometown(故郷)」のように「home」がさまざまな単語に組み込まれています。
つまり、英語で「家」と言うとき、単に建物を指すのか、それとも心の拠り所としての「家庭」を指すのかで言葉が変わります。どちらを選ぶかで、ぐっとニュアンスが違ってくるんですね。日常のなにげない表現から文化の背景まで、「家」という言葉ひとつにも英語の奥深さが表れていますね。