英語と日本語を比べると、まず目につくのが「主語」の扱いの違いです。英語は文を作るとき、必ず主語が必要です。「I eat sushi.」「She is happy.」のように、誰がどうしたのかをはっきりさせるのが基本です。もし主語を抜いて「Eat sushi.」と言うと、「寿司を食べろ」という命令文になってしまいます。
一方、日本語では主語をしばしば省略する言語です。「寿司を食べる」「元気です」「居ないね」とだけ言っても、文脈から「私が」「彼女が」と理解することができますよね。日本語話者にとっては自然でも、英語に直訳すると「主語がない!」と不完全な文になってしまいます。
また、日本語は「私」「あなた」などの代名詞を頻繁に省きます。「あなたは元気ですか?」の代わりに「元気?」だけで会話が成り立つのは、日本語の特徴です。英語で「Are you fine?」と言わずに「Fine?」だけでは、かなり不自然に聞こえます。
さらに面白いのは、主語の「幅」の違いです。英語で「It is raining.」と言うときの「it」は、雨を降らせる主体ではなく「形式上の主語」にすぎません。日本語では「雨が降っている」と、雨そのものを主語にします。同じ現象を表すのに、言語ごとに文の組み立て方が違うのですね。
こうして比べると、英語は「誰がどうしたか」を明示的に示す言語、日本語は「文脈に任せて省略できる」言語だといえますね。どちらが優れているということではなく、言葉の構造の違いがそのまま文化の違いにつながっているのかもしれません。