料理を彩るスパイスは、英語のことばの中でも「ちょっとした刺激」や「特別さ」を表すのに使われています。
たとえば「variety is the spice of life(多様性は人生のスパイスだ)」。これは「変化があるからこそ人生は楽しい」という意味のことわざです。スパイスが料理の味を豊かにするように、日常にも変化があると心が弾む、というわけですね。
「spicy」という単語も単に「辛い」という意味にとどまりません。「a spicy story」といえば「ちょっときわどい話」「刺激的な話」というニュアンスになります。スパイスがピリッと効いている感覚がそのまま言葉に表れています。
一方で「salt」も欠かせない表現です。「the salt of the earth(地の塩)」は「誠実で信頼できる人々」を指します。聖書に由来する古い表現ですが、今でも敬意を込めて使われます。また、「take it with a grain of salt(話を少し割り引いて受け取る)」という表現もあり、塩ひとつまみが「注意」や「懐疑」の象徴になっています。
さらに「pepper」は「胡椒」ですが、「pepper someone with questions」と言えば「質問を浴びせる」という意味。胡椒をパッと振りかけるイメージから生まれた表現です。
スパイスや調味料の言葉は、料理だけでなく人間関係や人生観を彩る比喩として息づいています。次に胡椒や塩を手に取るとき、英語の中に生きるこうした表現を思い出してみると、言葉の世界も一段とスパイシーに感じられるかもしれませんね。