英語で「休暇」を表現する際、主に「vacation」と「holiday」の2つが使われますが、これらには語源や地域による興味深い違いがあります。
まず「holiday」の語源は、古い英語の「holy day(聖なる日)」です。もともとは宗教的な行事や祭日のために仕事を休む日を指していました。イギリス英語では個人の長期休暇も「holiday」と呼びますが、アメリカ英語では主にクリスマスや感謝祭などの「公的な祝祭日」を指すことが多いです。
一方で「vacation」は、ラテン語の「vacare(空にする)」に由来しています。これは「特定の義務や仕事から自分を解放し、予定を空にする」という意味が込められています。主にアメリカで個人の旅行や長期休みを指して使われる言葉です。つまり、イギリスでは「聖なる休み」としての伝統的なニュアンスが残り、アメリカでは「スケジュールを空にする」という機能的な捉え方が強調されていると言えるかもしれません。
近年の造語で面白いのが「staycation(ステイケーション)」です。「stay(滞在する)」と「vacation」を組み合わせた言葉で、遠出をせずに自宅や近場で休暇を過ごすスタイルを指します。経済的な理由やリラックスを目的として、あえて「何もしない贅沢」を楽しむ現代的な文化が反映された表現です。
また、少し変わった慣用句に「a busman’s holiday」というものがあります。直訳すると「バス運転手の休日」ですが、これは「休日なのに仕事と同じようなことをして過ごすこと」を意味します。かつて馬車バスの運転手が、自分の休日にわざわざ客として同僚の運転するバスに乗って過ごしたというエピソードが由来と言われています。
ビジネスシーンでは、よりフォーマルな「leave」という言葉も多用されます。「on maternity leave(産休中)」のように、「許可を得て職務を離れる」というニュアンスで使われます。単なる「休み」ではなく、制度としての休暇であることを示します。
このように、英語の「休暇」にまつわる言葉には、宗教的な起源から現代のライフスタイル、さらには職業的なユーモアまで、多様な価値観が反映されています。言葉の背景を知ることで、休暇の過ごし方に対する英語圏の考え方をより深く理解できます。
