サウダージと聞くと皆さん何を思い浮かべるでしょうか?今回はサウダージの意味・語源・関連作品について見ていきたいと思います。
サウダージの意味とは
サウダージ(saudade)とは、故郷への郷愁・哀愁・切なさ・憧れ・懐かしさを意味する言葉で、ポルトガル語が語源です。
元々、植民地時代にブラジルへ渡ったポルトガル人が、故郷のポルトガルを「懐かしくも切なく思う気持ち」を表現するために使い始めた言葉です。サウダーデと発音することもあります。
直訳が難しい言葉ですが、日本語では「ふるさとを懐かしく思うこと」を意味する郷愁(きょうしゅう)と訳されることもあります。
英語では、ポルトガル語と同じsaudadeと表記しますが、ノスタルジア(nostalgia)の方が良く使われています。nostalgiaも「家や母国に帰りたい」という気持ちから造語された言葉で、ラテン語やギリシャ語に由来します。ちなみに日本語のノスタルジー(nostalgie)は英語ではなくフランス語に由来する発音です。
海外では、サウダージやノスタルジーのように、「遠い故郷を思う気持ち」を表す言葉が発展してきたわけですね。
サウダージを扱った作品は?
サウダージを扱った作品には以下のような作品があります。
- サザンオールスターズのアルバム 『SAUDADE 〜真冬の蜃気楼〜』(1998年)
- ポルノグラフィティのシングル 『サウダージ』(2000年)
- 富田克也監督の映画 『サウダーヂ』(2011年)
少し前の作品が多いですね。一番有名なのはポルノグラフィティの『サウダージ』でしょうか。
書籍の場合は、石川達三の『蒼氓』が思い浮かびます。『蒼氓』は昭和初期にブラジル移民が決まった人々の葛藤を描いた物語で、著者の石川氏が移民監督としてブラジルに行った経験をもとに執筆したそうです。1935年に第1回芥川賞を受賞している記念すべき作品です。
もう100年近くも前ですが、色褪せることない名作です。
ブラジルを始め、南米には海を渡った日本人が築いたコミュニティがいくつもあります。私も南米に住んでいた時にいくつか日本人村へ訪れたことがあります。南米に移住した人や、そこで生まれた日系の人々も、日本に対する「サウダージ」を持っているのかもしれませんね。
盛田隆二『サウダージ』
盛田隆二氏の『サウダージ』は日本人とインド人のハーフが主人公で、他にも外国人や日系の人々が登場します。ブラジルやポルトガルがテーマというわけではありませんが、外国に渡った労働者が故郷を思う気持ち、というのはどこの国や地域でも同じですよね。
日本における2020年の外国人労働者は約170万人で、8年間も過去最高を更新し続けています。また、外国人労働者だけでなく日本で学ぶ外国人留学生も増加していて、文部科学省によると外国人留学生の数は、2020年5月時点で約27万人だそうです(参照)。新型ウイルスの影響で2019年の約31万人からは多少減少しましたが、推移は2013年の約16万人から年々右肩上がりです。
つまり、こんな公式が考えられるかもしれません。
サウダージという言葉や、それに関する作品は、今後さらに増加するかもしれませんね。
その他のサウダージに関する作品です。
垣根涼介氏 『サウダージ』
垣根涼介氏の『サウダーデ』は日系ブラジル人が主人公のお話で、同氏の小説『ヒートアイランド』シリーズの第三作目です。
田辺剛氏、カリブsong氏 『サウダージ』
こちらは漫画(短編集)です。画力が凄まじいです。
まとめ
サウダージは、故郷への郷愁・哀愁・切なさ・憧れ・懐かしさという意味があり、ポルトガル語に由来しています。
似たような言葉には、日本語の郷愁(きょうしゅう)、英語のノスタルジア(nostalgia)などがあります。故郷を思う気持ちは全世界で共通ですね。そのため、ブラジルやポルトガル語に限らず、色々な作品でサウダージについて描かれています。
人の往来が活発になっている現在、サウダージの意味や関連作品は、今後さらに脚光を浴びるかもしれません。