英語で「偶数」は「even number」と表現されます。算数の授業で習う基本的な単語ですが、なぜ「平らな」や「均等な」を意味する「even」が使われるのでしょうか。その背景には、英語圏における「数」への捉え方や、日常生活に根付いた面白い表現が隠されています。
「even」という言葉の語源は、古英語の「efen(平らな、等しい)」にあります。2で割り切れる偶数は、分けた時に余りが出ず、両方の重さが等しくバランスが取れている状態です。この「平らで凹凸がない」というイメージが、そのまま偶数を指す言葉として定着しました。対照的に「奇数」は「odd number」と呼ばれますが、「odd」には「余りの」「奇妙な」といった意味があり、ペアになれず一つ余ってしまう様子を表しています。
この「平ら=バランスが取れている」というニュアンスは、数学以外の表現にも広く応用されています。例えば、性格が穏やかで感情の起伏が少ない人を「even-tempered」と言います。また、貸し借りがなくなり対等な関係になることを「We are even.(これで貸し借りなしだ)」と表現するのも、天秤が水平(even)になった状態をイメージすると分かりやすいでしょう。
スポーツや勝負事の世界でも「even」は頻繁に登場します。スコアが同点であることを「even score」と言ったり、カジノなどの賭け事で、勝てば賭け金と同額の配当が得られる条件を「even money」と呼んだりします。日本語の「五分五分」という感覚に非常に近い言葉だと言えます。
また、少しユニークな慣用句に「Even Steven」という表現があります。これは「互角であること」や「公平に分けること」を意味する口語表現です。19世紀頃から使われ始めた言葉で、「even」という単語に、韻を踏んだ名前の「Steven」を付け加えた、リズム感の良いフレーズです。
文法的な注意点としては、特定の数が偶数であることを示す際に「an even number」と不定冠詞を伴うのが一般的です。一方で「0(ゼロ)」が偶数か奇数かという議論が時折なされますが、数学的には2で割り切れる(余りが0になる)ため、英語圏でも「Zero is an even number.」として扱われます。
このように、英語の「偶数(even)」は、単なる数学の用語を超えて「均衡」「公平」「平穏」といったポジティブなイメージを伴って使われています。言葉の裏側にある「バランスの取れた状態」という視点を持つことで、日常会話で見かける「even」の使い方がより立体的に理解できるのではないでしょうか。
