英語で「美味しい」と伝える際、学校でまず習うのは「delicious」ですが、実際の日常会話では、シチュエーションや食べ物の種類に合わせて非常に多彩な表現が使い分けられています。
英語の「delicious」の語源は、ラテン語の「喜び(deliciae)」という言葉に由来しています。単に舌が味を感じるだけでなく、五感全体で喜びを感じるような「とびきりの美味しさ」を表現する言葉です。そのため、日常的な食事で連発すると少し大げさに聞こえることもあり、ネイティブスピーカーは普段の会話ではシンプルに「It’s good!」や「It’s tasty.」といった表現を多用します。
食べ物の種類によって使い分けるのも英語の特徴です。例えば、甘くない塩気のある美味しさや、肉料理などのコクがある味には「savory(セイボリー)」という言葉が使われます。最近では、日本語の「旨味」がそのまま「umami」として英語圏でも定着しており、特にグルメな人々の間では、第5の味覚を表現する言葉として一般的に使われるようになりました。
また、より感情を込めたユニークな慣用句もたくさんあります。例えば、「to die for(死ぬほど価値がある)」という表現は、「死んでもいいほど美味しい」という最高級の褒め言葉として使われます。また、空腹時に求めていた味にぴったりの時は「It hits the spot.(まさにこれが欲しかった、勘所に的中した)」と言ったり、指まで舐めたくなるほど美味しい時には「finger-licking good」と表現したりします。
一方で、少し注意が必要なのが「sweet」です。日本語では「甘くて美味しい」という意味で使われますが、英語の「sweet」は単に味覚としての「甘さ」を指すため、文脈によっては「甘すぎる」というネガティブな意味を含むことがあります。本当に褒めたい時は「It has a nice sweetness.」のように、ポジティブなニュアンスを補足するのが一般的です。
文法的な側面で見ると、日本語では「美味しい肉」のように形容詞として使うことが多いですが、英語では「I’m enjoying this meal.(この食事を楽しんでいます)」のように、動詞を使って「味わっている状態」を伝えることで、作り手への敬意を表す文化があります。
このように、英語の「美味しい」には、単なる味の説明を超えて、文化的な背景やその場の喜びが凝縮されています。状況に合わせた言葉選びをすることで、食事の時間がより豊かでコミュニケーションに満ちたものになるのではないでしょうか。
