英語で「大学」を表す際、主に「university」と「college」という2つの単語が使われます。日本人にとってはどちらも同じ「大学」に思えますが、国によるニュアンスの違いや言葉の成り立ちを知ると、教育に対する文化的な姿勢が見えてきます。
まず、アメリカ英語とイギリス英語での使い分けが大きな特徴です。アメリカでは、総合大学も単科大学も総称して「college」と呼ぶのが一般的で、日常会話でも「大学に行く」は「go to college」と言います。一方、イギリスやオーストラリアでは「university(略して uni)」が主流で、「college」は大学入学前の準備学校や専門学校を指すことが多いです。この違いを知らないと、留学先や旅行先で会話が噛み合わないこともあるので注意が必要です。
「university」という言葉の語源は、ラテン語の「universitas(全体の、集合的な)」にあります。これはもともと、中世ヨーロッパで教師と学生が作った「ギルド(組合)」を指していました。特定の場所を指す言葉ではなく、知識を求める人々の「集まり」そのものが大学の起源だったのです。
また、卒業した大学を指す際に使われる「Alma Mater(アルマ・マーター)」という表現があります。これはラテン語で「恵みを授ける母」という意味です。大学を、学生に知識という栄養を与えて育む「母校」として敬う、西洋の伝統的な考え方が反映されています。
大学に関連するユニークな慣用句に「Ivory Tower(象牙の塔)」があります。これは、現実離れした学問に没頭し、世俗の苦労から切り離された研究施設や学者を揶揄する言葉として使われます。もともとは聖書に由来する純潔な表現でしたが、19世紀のフランスの批評家が詩人を評したことから、現代のような「世間知らずな学究の世界」という皮肉な意味で定着しました。
文法的な特徴として、学生が「(勉強のために)大学に通う」という文脈では、「go to university」のように定冠詞の「the」をつけません。これは「学校(school)」や「教会(church)」と同様に、建物そのものではなく、そこで行われる「教育を受ける」という機能や目的を重視しているためです。逆に、単に建物としての大学を指す場合には「the」を伴います。
このように、英語における「大学」という言葉は、単なる教育機関の名称を超えて、中世の組合の歴史や、母校への敬意、さらには社会との関わり方までを内包しています。言葉の背景に触れることで、学びの場に対する認識がより深まるのではないでしょうか。
