英語で「賛成」を伝える際、基本となる単語は「agree」ですが、相手との関係性や賛成の強度、あるいは歴史的な背景によって、実に多くの表現が使い分けられています。
日常会話で最も使われる「agree」の語源は、ラテン語の「ad gratum(喜ばしいことへ)」に遡ります。もともとは単に意見が一致することだけでなく、「相手にとって心地よい状態になる」というニュアンスを含んでいました。意見を合わせることが、調和や喜びを生むという考え方が根底にあるのですね。
ビジネスや公的な場では、より硬い表現が好まれます。「approve」は、権限を持つ人が計画などを「承認する」というニュアンスで使われます。また、「consent」は、提案に対して「(渋々であっても)同意する、承諾する」という意味合いが強く、医療の「インフォームド・コンセント(説明と同意)」などで馴染み深い言葉です。
歴史的な重みを感じさせる表現に「Aye(アイ)」があります。これは古い英語で「はい(Yes)」を意味する言葉ですが、現在でもイギリス議会や海軍で正式に使われています。議会での採決の際、賛成派は「Aye」、反対派は「No」と叫び、議長が「The Ayes have it!(賛成多数!)」と宣言する光景は伝統的なスタイルです。映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』などで海賊が使う「Aye, aye, sir!(アイアイサー!)」も、この「了解・賛成」の意から来ています。
また、視覚的なイメージから来た慣用句に「see eye to eye」があります。直訳すると「目と目を見る」ですが、これで「意見が完全に一致する」という意味になります。聖書に由来するとも言われ、互いの視線が同じ高さで合う=考え方がぴったり重なる、という状況を見事に表しています。
文法面で日本人が間違いやすいポイントとして、「agree」は動詞であるという点があります。「I am agree.」とするのは誤りで、正しくは「I agree.」です。また、人に対して賛成する場合は「agree with you」、提案や計画に対しては「agree to the plan」と、前置詞を使い分けるルールもあります。
このように、英語の「賛成」には、単なるイエス・ノーの意思表示を超えて、相手への共感や公的な権威、さらには議場の熱気までが含まれています。場面に応じた「賛成」を使いこなすことで、コミュニケーションの解像度がぐっと上がるはずです。
