英語で「給与」を表現する際、最も代表的な単語は「salary」ですが、労働の形態や支払われ方によって明確な使い分けが存在します。さらに、その語源を辿ると、古代ローマ時代の意外な「支払い手段」に行き着きます。
まず、言葉の使い分けについてです。「salary」は主に会社員や公務員などに支払われる、月給や年俸といった「固定給」を指します。一方、アルバイトや工場労働など、時給や日給ベースで計算される賃金は「wage」と呼ばれます。また、弁護士や医師などの専門職への報酬は「fee」、役員報酬などは「remuneration」といった堅い表現が使われることもあり、英語では「どのようにお金を受け取るか」で単語が変わるのが特徴です。
「salary」の語源は、非常に有名な雑学の一つです。これはラテン語の「salarium(塩の支給)」に由来します。古代ローマ時代、塩は食品の保存に欠かせない貴重品であり、兵士への給与の一部として塩、あるいは塩を買うための手当が支給されていました。ここから「塩=給料」という意味が定着したのです。
この歴史的背景は、現代の慣用句にも残っています。「worth one’s salt」という表現は、直訳すると「自分の塩の価値がある」となりますが、これは「給料分の働きをする」「有能である」という意味で使われます。逆に、給料が非常に安いことを「work for peanuts(ピーナッツのために働く=はした金で働く)」と表現することもあり、食べ物が給与の比喩に使われるのは興味深い点です。
文法的な注意点として、給料の「高い・安い」を表現する際は、値段ではないため「expensive / cheap」は使いません。「high salary(高い給料)」や「low salary(低い給料)」と表現するのが正解です。また、給料を「稼ぐ」という動詞には「earn」を使うのが一般的です。
このように、「給与」を表す英語は、現代の雇用形態を反映して使い分けられているだけでなく、古代の兵士たちが汗を流して手に入れた「塩」の歴史を今に伝えています。給料日には、この言葉のルーツに思いを馳せてみるのも一興かもしれません。
