夜空で一際明るく輝く「金星」。英語では「Venus」と呼ばれますが、その名前の由来や別名、関連する表現を知ると、この惑星がいかに特別な存在として扱われてきたかが分かります。
「Venus」という名前は、ローマ神話における「愛と美の女神(ヴィーナス)」に由来します。ギリシャ神話のアフロディーテに相当する存在です。夜空で最も美しく輝くその姿から、この名が付けられました。そのため、英語圏では美しさや女性性の象徴として語られることが多く、生物学で女性を表す記号「♀」も、もとはこのヴィーナス(の手鏡)を意味する記号から来ています。
金星には、時間帯によって異なる美しい呼び名があります。夜明け前に東の空に見える時は「Morning Star(明けの明星)」、日没後の西の空に見える時は「Evening Star(宵の明星)」と呼ばれます。古代の人々はこれらが同じ星だとは知らず、別々の名前を付けて呼んでいました。現代英語でも、詩的な表現や比喩としてこれらの呼び名が使われることがあります。
文化的な雑学として有名なのが、「Men are from Mars, Women are from Venus」というフレーズです。これは1990年代のベストセラー本のタイトル(邦題:『ベスト・パートナーになるために』)ですが、英語圏では男女の考え方や感じ方の違いを表す決まり文句として定着しています。戦いの神マルス(火星)と愛の神ヴィーナス(金星)という対比が、男女の性質の違いをうまく表しているとされたのです。
また、意外な植物の名前にその名が隠れています。食虫植物のハエトリグサは、英語で「Venus flytrap」と言います。これは「女神(Venus)のように美しく虫を誘惑し、罠(trap)にかける」というイメージから命名されたと言われています。
文法的な注意点として、天体の名前は固有名詞なので、文頭でなくても最初の文字を大文字にして「Venus」と書きます。「the sun」や「the moon」とは異なり、惑星の名前には通常定冠詞の「the」を付けずに使われます(例:Venus is the hottest planet.)。
このように、英語の「金星」は単なる天体の名称にとどまらず、神話のロマンや男女観、さらには植物の名前にまでその輝きを広げています。美の女神の名を持つこの星は、英語の世界でも特別な位置を占めているのです。
