英語と日本語を比べると、「数(単数・複数)」の扱い方に大きな違いがあります。英語では名詞を使うとき、必ず「単数か複数か」を区別しなければなりません。たとえば「a book(一冊の本)」と「two books(二冊の本)」では、名詞の形も冠詞も変わります。もし「I have book」と言うと、「数が分からないから不自然」と感じられてしまうのです。
一方、日本語では「本がある」と言うだけで、1冊なのか10冊なのかは文脈に任されます。「一冊の本」と強調することもできますが、普段は数をはっきり言わなくても問題ありません。つまり、日本語は「数」をあまり細かく示さなくても成り立つ言語なんですね。
さらにやっかいなのが「不可算名詞」です。英語では「water」「information」「advice」のように「数えられない」とされる名詞があります。「waters」「informations」とすると誤りになるケースが多いのです。日本語だと「水」「情報」「アドバイス」はふつうに数えることができそうに思えるので、この違いに戸惑う人も多いですよね。
また、日本語には「助数詞」という独特の仕組みがあります。「一人」「二本」「三匹」のように、数える対象によって単位を変える必要があります。英語では「one person」「two bottles」「three cats」と、名詞そのものを変えずに数をつけるだけなので、逆に日本語の助数詞を学ぶ英語話者は「なんて複雑なんだ!」と驚くそうです。
こうして見ると、英語は「数をきっちり区別する」言語、日本語は「文脈に委ねる」言語といえるかもしれません。どちらも合理的で、それぞれの文化や発想の違いが反映されているのが面白いところですね。