日本語では「パン」といえば一つでもたくさんでも同じ言葉ですが、英語ではちょっと事情が違います。基本的に「bread」は数えられない名詞(uncountable noun)として扱われます。つまり「I like bread.」といえば「私はパンが好き」という意味になり、パン全般を指します。ここでは数を数えることはできません。
では「パンを一つください」と言いたいときはどうするのでしょう? その場合は「a piece of bread」や「a slice of bread」といった表現を使います。サンドイッチ用の薄いパンなら「slice」、バゲットを切った一部なら「piece」というように、形に応じて言い分けるんですね。
一方で「breads」という形もあります。あまり日常会話では頻繁に使われませんが、「いろいろな種類のパン」という意味を表したいときに登場します。たとえばパン屋さんで「We offer many different breads from around the world.」と言えば、「世界各地のいろいろな種類のパンを扱っています」というニュアンスになります。つまり、食卓にあるパンの数ではなく、バリエーションに注目しているわけですね。
また、「bread」には比喩的な意味もあります。スラング的に「bread」が「お金」を指すことがあるんです。「He’s making a lot of bread.」といえば「彼はたくさん稼いでいる」という意味になります。これは昔から「パン=生活の糧」と考えられていたことの名残です。
まとめると、日常では「bread」は数えられない名詞として使い、「breads」は種類を強調したいときに使います。そしてちょっとカジュアルな場面では「お金」の意味もあります。パンひとつでここまで表現が広がるのは、英語ならではのおもしろさかもしれませんね。