朝の目覚めや仕事の合間に欠かせない「コーヒー」。世界中で愛されるこの飲み物には、歴史や語源、そして私たちの日常に深く根ざした面白いエピソードが数多く隠されています。
まず「コーヒー」という言葉の語源を辿ると、エチオピアにある地名「カッファ(Kaffa)」や、アラビア語でワインを意味する「カフワ(Qahwa)」に由来すると言われています。イスラム圏ではかつて、コーヒーは「知恵を授ける聖なる飲み物」や「イスラムのワイン」として珍重されていました。それがトルコを経てヨーロッパに伝わり、オランダ語の「koffie」から英語の「coffee」になったとされています。
コーヒーの発見にまつわる有名な伝説に「踊るヤギ」の話があります。9世紀頃、エチオピアの牧人カルディが、ある赤い実を食べたヤギたちが元気に飛び跳ねるのを目撃しました。自分もその実を食べてみたところ、気分が爽快になったのがコーヒーの始まりだと言われています。当初は飲み物ではなく、実をすりつぶして動物の脂と混ぜた「携帯食」として利用されていた時期もありました。
現代では当たり前に使われる「エスプレッソ(Espresso)」という言葉。これには「急行(Express)」と同じ語源があり、「お客様のために特別に、素早く抽出する」という意味が込められています。また、イタリア語の「cappuccino(カプチーノ)」は、修道士が着るフード付きの茶色い修道服「カプチン」に色が似ていたことから名付けられました。
英語の慣用句にもコーヒーは登場します。「Wake up and smell the coffee」という表現は、直訳すると「目を覚ましてコーヒーの香りを嗅げ」ですが、実際には「現実を直視しろ」「甘い考えを捨てろ」という厳しい忠告として使われます。ボーッとしている相手に「目を覚ませ!」と活を入れるようなニュアンスです。
意外な事実として、コーヒー豆は名前に「豆(bean)」と付いていますが、植物学的には豆類ではありません。コーヒーの木に成る「コーヒーチェリー」という果実の種子なんです。私たちが飲んでいるのは、フルーツの種を焙煎したものだと言い換えることもできます。
このように、一杯のコーヒーの背景には、エチオピアの山奥から現代のカフェ文化に至るまでの壮大な歴史と知恵が詰まっています。次にコーヒーを口にするとき、その香りと共に、遠い異国や過去の物語に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
