英語で「単位」は「unit」と表現されますが、日常会話で使われる長さや重さ、温度の単位を詳しく見ていくと、英語圏(特にアメリカ)の文化や歴史的なこだわりが色濃く反映されていることが分かります。
世界的にはメートル法(Metric system)が主流ですが、アメリカなどでは依然としてヤード・ポンド法(Imperial units / US Customary units)が日常生活の根幹を支えています。この独特な単位系は、もともと人間の身体の一部や身近な道具を基準にして作られたため、非常に直感的で人間味あふれる由来を持っています。
例えば、長さの単位である「inch(インチ)」は、ラテン語で「12分の1」を意味する言葉が語源ですが、古くは「親指の幅」が基準とされていました。また、「foot(フィート)」はその名の通り「足(foot)」の大きさが基準です。単位のフィートの複数形が「feet」になるのは、文字通り「足が何本分か」を数えていた名残です。さらに、その3倍の長さである「yard(ヤード)」は、イングランド王の鼻先から指先までの長さが基準になったという説もあり、王の身体が国家の基準であった歴史を物語っています。
重さの単位「pound(ポンド)」についても面白い雑学があります。なぜ記号で「lb」と書くのか不思議に思ったことはありませんか? これは、古代ローマの重量単位「libra(リブラ)」に由来しています。天秤を意味するこの言葉が記号として残り、読み方だけが英語の「pound」に変わったのです。通貨の「ポンド(£)」も同じ語源を持っており、かつては「銀1ポンドの重さ」が貨幣価値の基準であった名残です。
温度の単位も、日本人を悩ませるポイントの一つです。日本では摂氏(Celsius / ℃)を使いますが、アメリカでは華氏(Fahrenheit / ℉)が使われます。華氏の「0度」は、考案者のファーレンハイトが当時作り出せた最も冷たい塩水の温度であり、「100度」は人間の体温を基準に設定しようとしたと言われています(実際には少しズレが生じましたが)。私たちには馴染みの薄い「90℉(約32℃)」という数字も、彼らにとっては「人間の体温に近い、非常に暑い日」という直感的な感覚と結びついているのです。
慣用句にも単位は登場します。「Give them an inch and they’ll take a mile.」という表現がありますが、これは「1インチ(少し)譲歩すれば、1マイル(図に乗って大きく)奪われる」、つまり「少しでも隙を見せるとつけ込まれる」という意味で使われます。
このように、英語における「単位」は、単なる数字の指標ではなく、歴史的な王の身体や古代ローマの記憶、そして人々の生活感覚が凝縮されたものです。単位の背景を知ることは、英語圏の人々が世界をどのように「測り」、認識しているのかを理解する第一歩になるはずです。
