日々の何気ない記録を「雑記」と呼びますが、英語ではその目的や内容に応じて「notes」「miscellany」「trivia」など、多様な言葉が使われます。これらの言葉を掘り下げると、情報の扱い方に対する英語圏の面白い視点が見えてきます。
「雑学」という意味で最も親しまれている言葉は「trivia(トリビア)」でしょう。この語源はラテン語で「3つの(tri)」と「道(via)」が合わさった「trivium(三差路)」にあります。昔、町外れの三差路は人々が集まって世間話をする場所でした。そこから「どこにでもあるような、ささいな情報」を指すようになり、現代では「知らなくても困らないけれど面白い知識」という意味で定着しました。
一方、まとまりのない記録を指す「miscellaneous(種々雑多な)」という言葉もよく使われます。略して「misc.」と表記されることも多いこの言葉の語源は、ラテン語の「混ぜる(miscere)」です。もともとは「混ぜ合わされたもの」などを指していましたが、現在ではジャンル分けできない多様な項目をひとまとめにする際に欠かせない表現となっています。
日々の出来事を記す「diary(日記)」と「journal(日誌)」の違いにも、興味深い背景があります。「diary」はラテン語の「日(dies)」から来ており、主に個人的な感情や出来事を記録するニュアンスが強いです。対して「journal」は、フランス語の「日(jour)」を経て伝わった言葉で、航海日誌や議事録など、より公的な、あるいは特定のテーマに沿った記録を指す傾向があります。最近では、思考を整理するための「journaling」という習慣も世界的に人気です。
書くことにまつわるユニークな口語表現に「jot down」があります。「手早く書き留める」という意味ですが、この「jot」はギリシャ文字で最も小さい「iota(イオタ)」に由来すると言われています。文字のほんの小さな一画すらも書き漏らさない、という姿勢が「メモを取る」という言葉に変わっていきました。
文法的な特徴としては、「trivia」の扱いに注意が必要です。もともとは「trivium」の複数形ですが、現代の日常会話では「不可算名詞(数えられない名詞)」のように扱われ、「some trivia」や「a piece of trivia」と表現されるのが一般的です。
このように、「雑記」や「雑学」にまつわる英語は、道端の世間話から古代の文字、日々の記録まで、実に豊かなルーツを持っています。一見バラバラに見える情報の集まりも、言葉の背景を知ることで、知的な冒険の記録へと変わるのではないでしょうか。
