英語で「文房具」は「stationery」と言いますが、この単語にはネイティブスピーカーですら間違えやすい「スペルの罠」や、日本人がうっかり使いがちな「和製英語」の落とし穴がたくさん潜んでいます。
まず最大のポイントは、「stationery(文房具)」と「stationary(動かない・静止した)」の使い分けです。発音は全く同じですが、綴りが「e」か「a」かで意味が大きく異なります。覚え方としてよく知られるのが、「Envelope(封筒)のeは文房具」「car(車)が停まる(park)のは静止」という区別です。語源は中世に遡り、行商人ではなく大学近くに「店を構えて(stationed)」本や紙を売っていた人を指す言葉から派生しました。
また、文房具の名前には日本独自の呼び方(和製英語)が多く、そのまま英語として使っても通じないものが多々あります。代表的なのが「ホッチキス」です。これはかつての製造メーカー名であり、英語では「stapler」と呼ぶのが一般的です。同様に「シャープペンシル」も英語圏では通じにくく、仕組みを表す「mechanical pencil」という名称が正解です。「ボールペン」も略さずに「ballpoint pen」と言う必要があります。
日常会話で使える便利な表現に「pencil something in」があります。直訳すると「鉛筆で書き込む」ですが、これは「予定を仮に入れておく」という意味で使われます。ボールペンやインクと違い、鉛筆なら後で消して修正できることから、「まだ変更の可能性がある予定」を指す際の実用的なフレーズとして定着しています。
地域による呼び名の違いも興味深い点です。セロハンテープは、アメリカでは「Scotch tape」、イギリスでは「Sellotape」と呼ばれることが多く、どちらも元々は商標名が一般名詞化したものです。
文法的に注意したいのは、「stationery」は「不可算名詞(数えられない名詞)」だという点です。「a stationery」や「stationeries」とは言いません。具体的に一つ二つと数える場合は「office supplies(事務用品)」や「items of stationery」といった表現を使うのが自然です。
机の上の小さな道具たちですが、正しい名前や使い方を知ることで、英語でのコミュニケーションもよりスムーズに、そして誤解なく行えるようになるはずです。
