英語のアルファベットの中で23番目に登場する「W」。日本のインターネット上では「笑い」を意味する記号としてすっかり定着していますが、英語圏における「W」の成り立ちや使い方を深掘りすると、言語の歴史の面白さが見えてきます。
まず最もユニークな特徴は、その名前にあります。アルファベット26文字の中で、唯一複数の音節(ダ・ブル・ユー)を持つ文字です。形は「V」が2つ並んでいるように見えるのに、なぜ「ダブル・ブイ」ではなく「double-U(ダブル・ユー)」と呼ばれるのでしょうか?
その理由は、古代のラテン語にまで遡ります。かつてラテン語では「U」と「V」の区別がなく、どちらも同じ文字として扱われていました。中世以降、英語に「ワ(/w/)」という音を表記する必要が生まれた際、当時の印刷技術では「U(あるいはV)」を2つ並べて「uu」や「VV」として表現しました。これが後に一つの文字として繋がり、「W」が誕生したのです。フランス語では今でも「ダブル・ブイ」と呼ばれていますが、英語では「U」を2つ重ねたという古い時代の名残で「ダブル・ユー」と呼ばれ続けています。
発音における面白い特徴として、「silent W(発音されないW)」の存在が挙げられます。「write(書く)」や「sword(剣)」、「answer(答える)」などの単語には「w」が含まれていますが、発音はされません。これらは昔の英語ではしっかりと「w」の音が読まれていたものの、時代とともに発音しにくいため読まれなくなり、スペルだけが歴史の化石のように残ったものです。
現代の英語圏の若者言葉やインターネットスラングでは、「W」単体で「Win(勝利、大成功)」を表すポジティブな言葉として大流行しています。「That’s a big W!(それは大勝利だね!最高だね!)」といった具合に使われます。日本の「w(草・笑い)」とは全く違う意味で使われているのは、非常に興味深い違いですね。また、ビジネスや情報整理の基本である「5W1H」も、Who、What、Where、When、Whyという「W」から始まる5つの疑問詞が主役です。
たった1文字の「w」ですが、そこには「U」や「V」との複雑な関係や、時代とともに変化した発音の痕跡が詰まっています。次に「w」を含む英単語を見たときには、この文字が歩んできたユニークな歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
