日本の食卓に欠かせない「こんにゃく」。英語圏には伝統的に存在しない食材のため、そのまま「konnyaku」と呼ばれることもありますが、一般的には「konjac(コンジャック)」と表記されます。この不思議な食材を英語でどう説明するかを探ると、異文化ならではの面白い視点が見えてきます。
こんにゃくは「こんにゃく芋」という植物から作られますが、この植物には英語で非常にユニークな別名があります。それは「devil’s tongue(悪魔の舌)」という恐ろしげな名前です。これは、こんにゃく芋の花が赤黒く不気味な形をしており、そこから長く伸びる付属体がまるで悪魔の舌のように見えることに由来しています。おでんに入っているぷるぷるのこんにゃくからは想像もつかない、なんともドラマチックなネーミングですね。
近年、欧米では健康志向の高まりから、こんにゃくがダイエット食品として大ブームになっています。特に糸こんにゃく(しらたき)は、パスタの代用品として「miracle noodles(奇跡の麺)」や「zero-calorie noodles(ゼロカロリーヌードル)」というポジティブな名前で親しまれています。グルテンフリーで低カロリーな点が、ヴィーガンや健康を気遣う人々の心を掴んでいるのです。
では、あの独特の食感を英語でどう表現するのでしょうか。英語にはこんにゃくの「ぷるぷる・くにゃくにゃ」に完全に一致する言葉がないため、「chewy(噛み応えがある)」や「gelatinous(ゼラチン状の)」といった単語を使って説明します。また、板こんにゃくの形状と芋を原料とすることから「yam cake(ヤム芋のケーキ)」と表現されることもありますが、甘いお菓子(ケーキ)だと勘違いされないよう、少し補足が必要かもしれません。
さらに、こんにゃく自体に味がないことは「flavorless」や「tasteless」と表現されますが、料理においては「他の食材の味をよく吸収する(absorb flavors well)」という重要な役割を持つことを添えると、その魅力が正確に伝わります。
このように、日本では地味な脇役になりがちな「こんにゃく」も、英語のフィルターを通すと「悪魔の舌」から「奇跡の麺」まで、非常に振り幅の大きい存在に変わります。日本の食文化を英語で説明する際は、こうした背景も交えて話すと、会話がより一層弾むのではないでしょうか。
