英語の前置詞「on」と聞くと、机の「上」などを想像する方が多いかもしれません。しかし、「on」の本来のコアイメージは「上」ではなく「接触」です。この基本概念を知ることで、英語ならではの面白い捉え方が見えてきます。
「接触」がコアイメージなので、物理的に上に乗っていなくても「on」は使われます。例えば、壁にくっついている時計は「a clock on the wall」、天井に止まっているハエは「a fly on the ceiling」と表現します。重力に逆らっていても、「面」にピタッと触れている状態であれば全て「on」で表すことができるのです。身近なところでは、電化製品のスイッチの「ON / OFF」も同じです。スイッチを「ON」にするとは、電気の回路が「接触」して電気が流れる状態になることを意味しています。
時間を表す際にも「on」のイメージが活躍します。「in」が月や年など広い空間を表すのに対し、「on」は特定の「日」に使われます。「on Monday」や「on May 3rd(5月3日に)」のように、カレンダーという平面上の特定の1日にピタッと指を置く(接触する)感覚を持つと、なぜ「日」に「on」を使うのかが直感的に理解できます。
また、この「接触」から派生して「依存」や「支えられている状態」を表す慣用句も生まれました。レストランなどで聞かれる「This is on the house.」という表現は、「これは店のおごりです(サービスです)」という意味になります。お店の負担(支え)の上に乗っている、という粋な言い回しです。他にも、崖っぷちの端に立たされている状態から派生した「on edge(イライラして、極度に緊張して)」など、状況をイメージしやすいユニークな表現が数多くあります。
文法的な使い方としては、特定の情報媒体に触れている状態も「on」を使います。「on the internet(インターネットで)」や「on TV(テレビで)」などです。電波やネットワークという回線に「接触(接続)」しているというニュアンスから来ています。
このように、前置詞の「on」は単なる「位置」を示す言葉ではなく、物理的・心理的な「つながり」や「接触」を表す非常に豊かな単語です。日本語の「上」という訳語を一度忘れてコアイメージを掴むことで、丸暗記に頼らない英語の奥行きを感じることができるのではないでしょうか。
