英語を勉強していると、「どうして綴りと読み方が一致しないの?」と感じること、よくありますよね。たとえば「colonel(大佐)」は「カーネル」と読みますし、「queue(列)」は「キュー」と発音します。なぜこんなにややこしいのでしょうか。
理由のひとつは、英語が外来語をたくさん取り入れてきたからです。フランス語やラテン語、ギリシャ語から借りた単語は、もとの綴りをなるべく残そうとする傾向がありました。その結果、英語の発音体系に合わない綴りがそのまま定着してしまったわけです。「colonel」も本来はフランス語から来た言葉で、発音だけが独自に変化しました。
もうひとつの理由は、発音の変化が綴りに追いつかなかったこと。15世紀ごろから17世紀にかけて「大母音推移」という大きな音の変化が起き、母音の発音がガラッと変わりました。「name」は昔は「ナーメ」に近い音だったのが、今では「ネイム」になっています。でも、印刷の普及でスペルはすでに固定されていたため、発音だけが変わってしまったのです。
さらに、イギリス各地やアメリカなど、地域によって発音が違うのも複雑さを増しています。同じ単語でも、ロンドンではこう読むけれどニューヨークでは別の発音、なんてことも珍しくありません。
こう考えると、英語の「不規則さ」は単なる混乱ではなく、歴史の積み重ねそのものなんですよね。だから「綴りと発音が違う!」と困ったときは、「ああ、これは英語が長い歴史の中でいろんな文化を吸収してきた証拠なんだ」と思ってみると、ちょっと気が楽になるかもしれません。