なぜ英語には同じ意味の単語がいくつもあるのか?

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英語を勉強していて、「同じ意味なのに、なんでこんなに言い方があるんだろう?」と思ったことはありませんか。たとえば「ask」「question」「inquire」はどれも「尋ねる」という意味を持っていますし、「kingly」「royal」「regal」は「王のような」というニュアンスを表します。

この背景には、英語の歴史的な「三重構造」があります。まず一番根っこにあるのがゲルマン系の古英語から来た語です。「ask」や「kingly」のように、シンプルで日常的な響きをもつ単語が多いのが特徴です。

そこに1066年のノルマン・コンクエスト以降、フランス語由来の語彙が大量に流入しました。「question」や「royal」のように、少し格式ばった響きを持つ単語がこれにあたります。さらに学問や宗教の場を通じてラテン語やギリシャ語からも単語が取り入れられました。「inquire」や「regal」はその代表例です。

こうして英語には、同じ概念を表す言葉がゲルマン語・フランス語・ラテン語の三層でそろってしまったのです。日常会話では「ask」を使い、ビジネス文書では「inquire」を選ぶ、といった使い分けが自然に生まれました。

一見ややこしいですが、この豊富な同義語のおかげで、英語はニュアンスを細かく調整できる言語になりました。「kingly」は素朴で人間味を感じさせ、「royal」は権威を思わせ、「regal」は堂々とした格式を強調する。そんな違いを出すこともできます。

つまり、同じ意味の単語が多いのは「無駄」ではなく、英語が多文化を吸収し続けてきた証拠でもあります。英語に触れるときは、「この単語はどのルーツかな?」と想像してみると、歴史の厚みが感じられて面白いと思います。

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