英語で「浮世」は何て言う?「浮世」に関する英語表現

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日本語の「浮世(うきよ)」という言葉には、なんとも言えない深みがあります。もともとは「憂き世」と書かれ、「つらく儚いこの世」という意味を持っていました。しかし江戸時代には、「浮き(楽しい)」の字が当てられ、「浮世絵」や「浮世草子」に見られるように、「今この瞬間を楽しむ世界」という明るい意味にも変わっていきました。

この「浮世」にぴったり合う英語は、実はありません。ただ、いくつかの言葉を組み合わせることで、その雰囲気を伝えることができます。たとえば、「this transient world(儚いこの世)」や「the fleeting world(すぐに過ぎ去る世界)」という表現は、仏教的な「無常」の感覚に近いです。英語の「transient」や「fleeting」は、「一時的な」「すぐに消える」という意味を持ちます。

一方で、江戸時代の「浮世」のように「現世の楽しみ」や「世俗的な暮らし」を表すなら、「the floating world」という言い方が実際に使われています。海外では「ukiyo-e(浮世絵)」がそのまま「pictures of the floating world」と訳され、江戸の町のにぎわいや人々の暮らしを描いた芸術として紹介されています。

また、「浮世を離れる」「俗世を捨てる」という意味なら、「to leave the mundane world」や「to detach from worldly desires」という表現もあります。「mundane」は「世俗的な」「日常の」という意味で、仏教思想や精神的な文脈にぴったりです。

こうして見てみると、「浮世」は単なる「現実世界」でも「儚い人生」でもなく、人の生と喜びと悲しみが混ざり合った、日本語らしい複雑な言葉です。英語で完全に言い表すことは難しいですが、「the floating world」という訳を通して、江戸の人々が見ていた「今を生きる美しさ」を少し感じ取ることができるかもしれませんね。

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