英語で「トンネル」はそのまま「tunnel」と言いますが、この言葉のルーツを探ると、意外な「形」にたどり着きます。また、トンネルという言葉を使った比喩表現は、私たちの日常生活や心理状態を言い表す際にもよく使われています。
まず「tunnel」という単語の語源ですが、これは古フランス語で「樽(たる)」を意味する「tonne」に由来しています。現代の巨大なコンクリート構造物が、かつてのワイン樽と同じ語源を持っているというのは驚きですね。
トンネルにまつわる最も有名な英語の慣用句といえば、「Light at the end of the tunnel(トンネルの終わりの光)」でしょう。これは、長く苦しい状況がようやく終わりに近づき、解決の兆しが見えてきたことを意味します。日本語の「一筋の光」に近いニュアンスですが、暗く長い閉鎖空間を通り抜けた先にある希望を象徴する、非常にポジティブな表現として愛されています。
一方で、少しネガティブなニュアンスを持つ言葉に「Tunnel vision(トンネル・ビジョン)」があります。これは、トンネルの中から出口だけを見ているときのように、視野が極端に狭くなっている状態を指します。心理学の分野では、ストレスや緊張によって周囲の状況が目に入らなくなることを指し、ビジネスの場では「近視眼的な考え方」を戒める際によく使われる言葉です。
歴史的な側面では、世界で初めて「川の下を通るトンネル」が作られたのはイギリスのロンドンでした。19世紀、イザムバード・キングダム・ブルネルというエンジニアがテムズ川の下に「Thames Tunnel」を建設しました。当時の技術では不可能と言われた大工事でしたが、ブルネルはフナクイムシが木に穴を掘る様子からヒントを得て「シールド工法」の基礎を築いたと言われています。
また、野球ファンにはおなじみの表現ですが、野手が股の間を抜かれるエラーを日本語で「トンネル」と呼びます。実はこれは和製英語に近い表現で、英語では「went through his legs」や、おかしなエラーという意味で「buckner(過去の有名な失策選手の名に由来)」などと呼ばれます。英語の「tunnel」には「通り抜ける」という物理的な意味はあっても、野球のエラーを指す日常的な俗称としてはあまり使われません。
このように、語源である「樽」から、希望の象徴である「光」、そして視野の狭さを表す心理用語まで、「tunnel」という言葉は多様な広がりを持っています。次に山道や地下鉄でトンネルを通る際は、その歴史や言葉の奥行きを思い出してみると、少し違った景色が見えてくるかもしれませんね。
