英語で「説得する」と伝えたいとき、多くの人が「persuade」と「convince」の2つを思い浮かべるでしょう。どちらも似た意味ですが、実は「相手のどこに働きかけるか」という点において、明確なニュアンスの違いがあります。
まず「persuade」は、相手を説得して「行動させる」ことに重点を置く言葉です。例えば、渋っている友人を説得してパーティーに来させた、という場合はこの単語がぴったりです。一方で「convince」は、相手の「心や信念」に働きかけ、納得・確信させることを意味します。つまり、行動が伴わなくても、相手が「確かにそうだ」と思えば「convince」したことになります。
「persuade」という言葉の語源を遡ると、ラテン語で「完全に」を意味する「per」と、「勧める」を意味する「suadere」が組み合わさっています。実は、英語の「sweet(甘い)」とも根っこが繋がっている言葉です。相手にとって「甘く、魅力的な提案」をすることで、納得して動いてもらう。力ずくではなく、言葉の響きやメリットで相手を包み込むようなニュアンスが、その成り立ちに隠されているのは面白いですよね。
日常会話で使われるユニークな表現に「twist someone’s arm」があります。直訳すると「誰かの腕をねじる」となりますが、これはプロレスの技をかけているわけではなく、「(嫌がる相手を)強く説得する」「無理強いして承諾させる」という意味の慣用句です。「I didn’t want to go, but he twisted my arm.(行きたくなかったんだけど、彼に強く説得されちゃって)」といった具合に、少し大げさでユーモラスな響きを持って使われます。
また、相手を自分の味方に引き入れるような説得は「win someone over」と表現されます。議論で勝つ(win)のではなく、相手の心を勝ち取る(win over)というニュアンスがあり、時間をかけて信頼を築き、最終的に賛同を得るというポジティブなプロセスを感じさせる言葉です。
反対に、甘い言葉で相手を丸め込むような説得は「sweet-talk」と呼ばれます。これは日本語の「おべっかを使う」や「口車に乗せる」に近く、語源の「甘くする」という要素が少しネガティブな方向に働いた表現と言えるでしょう。
「説得」という言葉一つとっても、論理で納得させるのか、魅力で動かすのか、あるいは少し強引に腕をねじるのか、英語にはその状況を鮮やかに描写する多様なフレーズが存在します。これらを使い分けることで、コミュニケーションもより「説得力」のあるものになるはずです。
