果物には色々な呼び方があります。前回、赤、黄、緑、青の果物をそれぞれ紹介しましたが、同じ果物にも多彩な名前がありました。そこで今回は「なぜ果物には色々な呼び方があるのか」について考えました。
言語による違い
同じ果物でも、言語が異なれば名前は異なります。
例えば、オレンジは、英語ではorange、フランス語ではorange(オランジュ)、スペイン語ではnaranja(ナランハ)、インドネシア語では、jeruk(ジェルク)、ベトナム語ではquả cam(クアーカム)、中国語では橙子(チョンズ)と呼ばれます。
この中には、同じ語源の単語もありますが、まったく別の語源のものもあります。これらのような外国語の言葉が伝わることで、従来の呼び名と入れ替わることがあります。
例えば、プラムとすももは、実は同じ種類の果物です。日本ではどちらでも呼ばれていますが、最近ではプラムと呼ばれることも増えています。よく食べるのであれば、ソルダムのように品種名で呼ぶこともあります。
発音による違い
同じ名前でも、言語ごとに発音が異なる場合もあります。
例えば、バナナといっても、英語ではbanana(バナァナァ)、フランス語ではbanane(バナヌ)、オランダ語ではbanaan(バナーン)と呼ばれています。
発音は、それぞれの言語の特徴を反映して、変化することがあります。
文化による違い
人々が果物に抱く文化的なイメージによっても、名称の違いが生じます。
例えば、アボカドの語源になったナワトル語のāhuacatl(アーワカトル)には「睾丸」という意味があります。一方、和名ではワニナシ(鰐梨)と呼ばれていますが、これは英語の「alligator pear」に由来し、アボカドの皮がワニのようだったことが語源になっています。果物のイメージによっても、色々な呼び名がありますね。
歴史的な影響
果物や野菜の命名は、歴史的な要因にも影響されています。
例えば、「かぼちゃ」はポルトガル語の「カンボジア(Camboja)」に由来しています。16世紀頃に、ポルトガル人によってカンボジア産のカボチャが日本に伝わったことから、このように呼ばれるようになりました。地域によっては「ぼうぶら」や「ボーボラ」などの呼び方もありますが、これもポルトガル語の「カボチャ、ウリ類」を意味するabóbora(アボボラ)に由来しています。
どの国から伝わったかによっても、呼ばれる名称が決まってしまうわけですね。
地域による違い
同じ果物でも、地域によって名前は異なります。
例えば、柑橘類のシークワーサーは沖縄の方言で、標準和名ではヒラミレモン(平実檸檬)と呼ばれています。ほかにも、同じく柑橘類のブンタン(文旦)は、地域によってはザボン、ボンタン、ウチムラサキなどと呼ばれています。英語由来のポメロ(Pomelo)と呼ぶこともあるかもしれません。
方言は海外でも同じで、先ほど、アボカドはスペイン語ではaguacate(アグアカテ)と呼ぶと紹介しましたが、南米ではケチュア語由来のpalta(パルタ)と呼ばれることもあります。
品種による違い
本来は同じ果物でも、品種、味、質感、形状などの特徴によって、さまざまな名前が付けられています。
例えば、リンゴの品種には、アメリカではレッドデリシャス(Red Delicious)、ハニークリスプ(Honeycrisp)、グラニースミス(Granny Smith)など、日本では、ふじ、つがる、王林、ジョナゴールドなどが有名です。りんごの品種の数は、日本だけでも2,000以上、世界では15,000以上もあるとされています。
果物自体を品種名で呼ぶことはあまりありませんが、ふじやつがるのように、品種名で店頭に並んでいることもあります。また、日本でいうマスカットは、マスカット・オブ・アレキサンドリアという品種を指しています。
まとめ
今回は「なぜ果物には色々な呼び方があるのか」について考えました。
果物の名前は、言語、発音、文化、歴史、地域、品種などの要因によって、実に多彩な名称で呼ばれています。果物名の多様性は、世界の多様な言語・文化・歴史を反映していて面白いですね。