抽象名詞(abstract noun)とは、五感で捉えられない概念や状態を表す名詞です。目に見えない考えや感情を言葉で伝えることができるので、表現を豊かにするのに役立ちます。この記事では、抽象名詞の意味や使い方についてわかりやすく解説します。
抽象名詞とは何か?
抽象名詞(abstract noun)とは、五感で感じることができない、形のないものを指す名詞です。たとえば、概念や感情、状態、性質などが該当します。
以下のような単語が抽象名詞の例です。
- love(愛)
- freedom(自由)
- happiness(幸福)
- strength(強さ)
- kindness(優しさ)
- intelligence(知性)

形のある具体名詞(concrete noun)とは異なり、抽象名詞は形がなく、知覚できないのが特徴です。
抽象名詞の使い方や注意点とは?
抽象名詞には以下のような使い方や文法的な注意点があります。
抽象名詞は不可算名詞
抽象名詞は具体的な物ではないので、基本的に不可算名詞として扱われます。そのため、不定冠詞の「a」や「an」をつけたり、複数形にしたりすることはありません。
- 誤)a happiness
正)happiness - 誤)many knowledge
正)much knowledge
1つ目では、不定冠詞は単数の可算名詞に使われます。たとえば、「a cat」や「an apple」は数えられますが、「happiness」や「information」は抽象的なので数えられません。
2つ目では、「knowledge」は不可算名詞なので、「many」ではなく「much」を使います。不可算名詞には「much」や「a lot of」といった数量詞を使い、可算名詞には「many」や「a few」を使うのが一般的です。

ただし、特定の種類を指す場合は、例外として可算名詞になることもあります(例:a kindness)。

抽象名詞の作られ方
抽象名詞の多くは、動詞や形容詞に接尾辞を加えることで作られます。いくかのパターンを紹介します。
- 動詞から名詞を作る接尾辞
-ment(例: enjoy → enjoyment)
-tion(例: inform → information)
-sion(例: decide → decision)
-ance(例: assist → assistance) - 形容詞から名詞を作る接尾辞
-ness(例: happy → happiness)
-ity(例: active → activity)
-cy(例: efficient → efficiency) - 具体名詞から抽象名詞を作る接尾辞
-hood(例: child → childhood)
-ship(例: friend → friendship)
このような接尾辞を語尾に加えることで、簡単に抽象名詞を作ることができます。接尾辞は語彙を効率よく増やすためにも役立つので、ぜひ覚えて活用しましょう。

接尾辞の使い方やよく使われる接尾辞については、以下の記事で詳しく紹介しています。
参考 接尾辞(suffix)とは
参考 英語学習に役立つ接尾辞一覧
抽象名詞の特徴
抽象名詞の特徴を箇条書きで簡潔にまとめました。
- 抽象名詞は無形の概念・感情・状態を表す
- 抽象名詞は五感で知覚できない
- 抽象名詞は通常不可算名詞
- 抽象名詞の対義語は具体名詞
- 動詞や形容詞に接尾辞を付加して派生する
例: create+tion → creation

抽象名詞を使いこなすことで、より深い意味を伝えることができます。
抽象名詞と具体名詞の違い
抽象名詞と具体名詞の違いについて簡単に説明します。
抽象名詞は「目に見えない・触れられない」ものを指します。感情や概念、状態など、実際には物理的に存在しないものです。たとえば、「love」「freedom」「happiness」などが抽象名詞です。これらは感じることはできますが、直接目にしたり触ったりすることはできません。
一方、具体名詞は「目に見える・触れられる」ものを指します。実際に物として存在し、私たちの五感で感じることができるものです。たとえば、「cat」「book」「mountain」などが具体名詞です。これらは実際に目で見たり、手で触れたりすることができます。
抽象名詞と具体名詞の違いを以下の表にまとめたので、参考にしてください。
項目 | 具体名詞 | 抽象名詞 |
---|---|---|
実体があるか | ある | ない |
知覚できるか | できる | できない |
可算・不可算 | 数えられる | 数えられない |
複数形 | 使われる | あまり使われない |
不定冠詞(a/an) | 使われる | あまり使われない |
例 | cat, apple, table | love, honesty, childhood |

抽象名詞と具体名詞は、意味や使い方に対照的な違いがありますね。
まとめ
この記事では、抽象名詞の意味と使い方について解説しました。
抽象名詞とは、目に見えない概念や感情、状態、性質などを表す名詞のことです。英語の語彙を豊かにする上で欠かせない名詞であり、抽象名詞を正しく使うことで、思考や意見をより深く表現できるようになります。これから英語を学ぶ際は、抽象名詞にもぜひ注目してみてください。