英語で「家具」を指す際、最も一般的な単語は「furniture」です。一見シンプルに思えるこの言葉ですが、文法的なルールや歴史的な背景を探ると、英語特有の捉え方やユニークな表現が見えてきます。
まず、日本人にとって最も注意が必要なのが、文法上の扱いです。「furniture」は、英語では「不可算名詞(数えられない名詞)」に分類されます。日本語では「家具を1点、2点」と数えますが、英語では全体を一つの集合体として捉えるため、「furnitures」と複数形にすることはありません。もし具体的に「1点の家具」と言いたい場合は、「a piece of furniture」という表現を使います。これは、家具が「生活を営むための装備一式」という抽象的な概念から来ているためだと考えられています。
この言葉の語源を辿ると、フランス語の「fournir(供給する、備え付ける)」に突き当たります。もともとは部屋に生活機能を持たせるための「装備品」を意味していました。ちなみに、特定の目的のための備品は「furnishings」と呼ばれ、カーテンやラグといった内装品を含めた、より広いニュアンスで使われることもあります。
個別の家具の名前にも面白い由来があります。例えば、引き出し付きの机や事務局を指す「bureau(ビューロー)」は、もともと「粗末なウール生地」を意味する言葉でした。かつて書き物机の上にその生地を敷いていたことから、机そのものを指すようになり、さらにはその机がある「事務所」や「局」という意味にまで発展したそうです。
また、家具にまつわるユニークな慣用句に「part of the furniture」があります。直訳すると「家具の一部」ですが、これはある場所に長く居すぎて「そこにあって当たり前の存在(風景の一部)」になっている人や物を指します。長年勤めているベテラン社員や、ずっと置いてある古い道具などに対して、親しみを込めて、あるいは少し皮肉を込めて使われる表現です。
もう一つ、面白い言葉に「wardrobe(ワードローブ)」があります。これは「ward(守る)」と「robe(衣服)」が合わさった言葉で、もともとは大切な衣類を保管するための小部屋や大きな戸棚を指しました。現代では「持っている洋服のバリエーション」そのものを指す言葉としても定着しています。
このように、英語の「家具」は単なる道具の名称ではなく、数え方という文法規則から言葉の変遷に至るまで、機能性を重視する文化や歴史が反映されています。身近なインテリアの名称を深掘りすることで、英語という言語の論理的な面白さを再発見できるのではないでしょうか。
