二重他動詞(ditransitive verb)とは、目的語を2つとる他動詞のことです。「誰に」と「何を」を一度に表現できるため、英会話でよく使われます。この記事では、二重他動詞の意味や使い方をわかりやすく解説します。
基本品詞10
名詞|動詞|形容詞|副詞|代名詞|助動詞|前置詞|冠詞|接続詞|間投詞
その他
自動詞|他動詞|本動詞|規則動詞|不規則動詞|動作動詞|状態動詞|句動詞|可算名詞|不可算名詞|動名詞|固有名詞|普通名詞|集合名詞|物質名詞|抽象名詞|具体名詞|複合名詞|質量名詞|不規則複数名詞|定冠詞|不定冠詞|無冠詞|不定詞|関係詞|疑問詞|否定形|数詞|基数詞|序数詞|数量詞|接頭辞|接尾辞|接辞|語根|語幹
二重他動詞とは何か?
二重他動詞(ditransitive verb)とは、2つの目的語をとる動詞のことです。1つの動詞で「誰に」と「何を」をいっぺんに表すことができます。
たとえば、以下の文をみてみましょう。
- She gave me a book.
彼女は私に本をくれた。
この文では、「me(私に)」が間接目的語、「a book(本を)」が直接目的語です。目的語が必要な他動詞の中でも、「誰に」「何を」という2つの情報を伝えることができるのが二重他動詞です。

二重他動詞は「give(あげる)」や「send(送る)」のように、「誰かに何かをする」という意味を持つ動詞が多いのが特徴です。
二重他動詞の使い方と語順
二重他動詞は「2つの目的語」をとる動詞です。目的語の並び方は、主に2つのパターンがあります。
間接目的語+直接目的語
二重他動詞の基本的な語順は、「間接目的語(人)+直接目的語(物)」です。この順番は日常会話でよく使われる自然な形です。
- He told me a story.
彼は私に話をしてくれた。 - She sent me a message.
彼女は私にメッセージを送った。 - I gave my friend a ticket.
私は友達にチケットをあげた。
下線が間接目的語(人)で、太字が直接目的語(物)です。

目的語が2つある場合は「人が先、物が後」が基本の語順になります。


直接目的語+前置詞(to/for)+間接目的語
二重他動詞は「直接目的語 + 前置詞(to/for) +間接目的語」という語順もよく使われます。この形は「人(間接目的語)」が後ろに来るのが特徴です。
- He told a story to me.
彼は話を私にしてくれた。 - She sent a message to me.
彼女は私にメッセージを送った。 - I bought a drink for him.
私は彼のために飲み物を買った。
これらの文では、「a story」「a message」が直接目的語、「to me」や「for him」 が間接目的語の役割を果たしています。
このように「人」を動詞のあとに置く場合には、「to」や「for」といった前置詞が必要になります。語順を変えることで、「何をあげたのか」や「誰にあげたのか」など、伝えたい部分を強調することができます。

「to me」や「for her」の部分は「前置詞句」と呼ばれ、その中の「me」「her」は「前置詞の目的語」といいます。

「to」と「for」を使う動詞の違い
「to」や「for」のどちらを使うかは、動詞の意味やニュアンスによって決まります。ここでは、「to」を使う動詞と「for」を使う動詞の違いを分かりやすく紹介します。
「to」を使う動詞
前置詞の「to」には、「物や情報を相手に移動させる」というイメージがあります。つまり、何かを渡す・送る・伝えるといった動作を表す動詞と一緒に使われます。
「to」を使う動詞には以下があります。
- give(与える)
- send(送る)
- show(見せる)
- tell(話す)
- lend(貸す)
- teach(教える)
例文をみてみましょう。
- He gave a book to her.
彼は彼女に本をあげた。 - They sent an email to me.
彼らは私にメールを送ってくれました。 - I showed the picture to my parents.
私はその絵を両親に見せました。 - She told the story to the class.
彼女はその物語をクラスで話しました。 - Can you lend this to me?
これを貸してもらえますか?

前置詞「to」には「移動・方向性」のイメージがありますね。
「for」を使う動詞
前置詞の「for」には、「相手のために何かをしてあげる」というイメージがあります。つまり、相手のために何かを用意したり、作ったり、手助けしたりする動詞と一緒に使われます。
「for」を使う動詞には以下があります。
- buy(買ってあげる)
- make(作ってあげる)
- get(手に入れてあげる)
- cook(料理してあげる)
- find(見つけてあげる)
例文をみてみましょう。
- He bought a present for her.
彼は彼女にプレゼントを買った。 - She made dinner for us.
彼女は私たちのために夕食を作ってくれた。 - I got a ticket for you.
あなたのためにチケットを入手しました。 - I cooked lunch for my brother.
弟のために昼食を作りました。 - They found a window seat for me.
彼らは私のために窓側の席を用意してくれた。

前置詞「for」には「目的・利益・恩恵」のイメージがあります。
「to」と「for」の使い分けポイント
「to」と「for」の使い分けは、前置詞のイメージで区別しましょう。
- to(~へ)
⇨ 相手に「移動させるイメージ」
⇨ 何かを渡す・送る・伝えるなど
例:give, send, show, tell… - for(~のために)
⇨ 相手に「してあげるイメージ」
⇨ 何かを用意する・作る・助けるなど
例:buy, make, get, cook…

迷ったときは、「渡す」イメージなら「to」、「してあげる」イメージなら「for」と考えると分かりやすいです。
まとめ
この記事では、二重他動詞の意味と使い方について紹介しました。
二重他動詞とは、「人に物を与える」「誰かに何かを伝える」などのように、2つの目的語(人+物)を取る動詞のことです。語順によって「to」や「for」を使うパターンがあり、それぞれの動詞に応じた使い分けが重要です。英語を学ぶ際には、二重他動詞のパターンにもぜひ注目してみてください。