今回のフレーズは「Add insult to injury」です。
「Add insult to injury」は、直訳すると「怪我に侮辱を加える」となりますが、実際には「追い打ちをかける」「悪い状況をさらに悪化させる」という意味になります。同じような言葉に「踏んだり蹴ったり」「傷口に塩を塗る」などがあります。
このフレーズは、すでに悪い状況をさらに悪化させる行為や言動をすることを指します。
例えば、仕事で大きなミスをした後に上司から厳しく叱られた場合、「Making a mistake was bad enough, but being scolded by the boss just added insult to injury.(ミスをするだけでも十分悪かったのに、上司に叱られてさらに追い打ちをかけられた)」と言うことができます。そのほかにも、「The rain ruined our picnic, and to add insult to injury, we forgot to bring the umbrella.(雨でピクニックが台無しになり、その上最悪なことに、傘を持ってくるのを忘れた)」というようにも使えます。
「Add insult to injury」の由来は、古代ギリシャやローマの寓話にさかのぼります。紀元前6世紀の「イソップ寓話」で、銀色の魚を捕まえた漁師が魚を逃がそうとすると、手を刺され、さらには魚に嘲笑されるというお話があります。怪我をした上に侮辱されるという、まさに「追い打ち」の話です。また、1世紀のローマの寓話作家Phaedrus(パエドルス, ファエドルス)も似たような話を書いています。話の中で共通しているのは、怪我をした人物がさらに侮辱されることで、痛みが増すという状況が描かれている点です。英語の文献においては、18世紀頃に初めて登場しますが、これら古代の寓話からの直訳であると考えられています。
まとめると、「Add insult to injury」は、文字通り「怪我に侮辱を加える」という意味ではなく、悪い状況をさらに悪化させる行為や言動を指します。このフレーズを使うことで、困難な状況にさらなる負担が加わることを効果的に表現することができます。
この「Add insult to injury」を使って、悪い状況がさらに悪化する場面で活用してみてください。
実際の発音もチェックしてみてください
怪我に侮辱を加える。追い打ちをかける。悪い状況をさらに悪化させる。
このシリーズでは、さまざまなことわざ・格言・慣用句・イディオムなどを紹介して解説しています。