英語では「チーズ」はちょっと不思議な扱いをされる食品です。基本形の「cheese」は数えられない名詞として使われ、全体としての「チーズ」を指します。たとえば「I like cheese.」といえば、「私はチーズが好き」という意味で、特定の種類に限らずチーズ全般を表します。
では、「一切れのチーズ」と言いたいときはどうするでしょう?その場合は「a piece of cheese」や「a slice of cheese」といった言い方をします。ピザに乗せる薄いチーズなら「slice」、塊から切り取ったものなら「piece」といった具合です。
一方で「cheeses」という複数形も存在します。これは「いろいろな種類のチーズ」を意味します。たとえば「France is famous for its many cheeses.」といえば、「フランスは数多くのチーズの種類で有名です」という意味です。実際、フランスには数百種類のチーズがあるといわれていますから、この表現がぴったりですね。
さらに、チーズにはおもしろい比喩的な使い方もあります。「the big cheese」といえば「大物」や「ボス」という意味です。これはアメリカのスラングで、チーズ=ごちそう=大事な存在、という連想から生まれた表現だといわれています。
まとめると、「cheese」は全体的なチーズや物質としてのチーズを指し、「cheeses」は種類の違いに注目するときに使います。そしてスラングになると「偉い人」という意味にまで広がる。ひとつの単語にいろんな顔があるのは、英語を学ぶ楽しみのひとつですね。