英語の「go」といえば、誰もが最初に習う「行く」という意味の基本単語です。しかし、ネイティブの感覚における「go」のコアイメージは単なる「行く」ではなく、「今いる場所や状態から離れていくこと」にあります。この感覚を理解すると、様々な面白い使い方が見えてきます。
例えば、誰かに「ご飯できたわよ!」と呼ばれて「今行く!」と返事をする時、英語では「I’m going」ではなく「I’m coming」と言います。話し相手(この場合は呼んでいる人)のいる場所へ近づく動きは「come」であり、「go」を使うと「あなたから離れて(別のどこかへ)行く」というちぐはぐな意味になってしまうからです。
また、「go」は移動だけでなく「状態の変化」を表す際にも大活躍します。この時、「正常な状態から離れていく」というコアイメージから、多くの場合「悪い状態への変化」を伴うのが特徴です。例えば「go bad(腐る)」「go bankrupt(破産する)」「go blind(失明する)」のように使われます。夢が叶うことを「come true(良い状態が近づいてくる)」と言うのとは見事な対比になっています。
さらに、「go」は動詞としてだけでなく、名詞としても日常会話で頻繁に登場します。「have a go」や「give it a go」というフレーズは、「一度やってみる」「挑戦してみる」という意味です。「とりあえず一歩踏み出してみる」という前向きなニュアンスが込められており、イギリスやオーストラリアなどで特によく耳にする表現です。
ユニークな慣用句としては「go bananas」があります。直訳すると「バナナになる」ですが、実際は「熱狂する」「怒りで気が狂う」という意味です。サルが大好物のバナナを目の前にして興奮し、騒ぎ立てる様子から生まれたと言われており、非常にユーモラスな表現です。また、常に忙しく動き回っている状態を「on the go」、困った時に真っ先に頼りになる人や定番の選択肢を「go-to(go-to person / go-to order など)」と呼ぶなど、日常やビジネスを彩るフレーズが豊富にあります。
このように、「go」というシンプルで短い単語には、「離れていく」という物理的・心理的な動きをベースにした、驚くほど多彩な意味が詰まっています。基本単語のコアイメージを知ることで、丸暗記に頼らずに英語の表現力をグッと広げることができるのではないでしょうか。
