句動詞(phrasal verb)とは、動詞と前置詞や副詞が組み合わさり、新しい意味を持つ表現のことです。たとえば、look up(調べる)やtake off(脱ぐ)などがあり、日常会話でよく使われます。この記事では、句動詞の意味や使い方についてわかりやすく解説します。
句動詞とは何か?
句動詞(phrasal verb)とは、動詞と1つ以上の前置詞や副詞が組み合わさったフレーズのことです。通常、元の動詞とは異なる意味を持つのが特徴です。たとえば、「look up」は「調べる」という意味で、「look(見る)」とは意味が異なっています。
句動詞には以下のような例があります。
- get up(起きる)
- give up(あきらめる)
- take off(離陸する/脱ぐ)
- put on(着る)
- put off(延期する)
- look up(調べる)
- look forward to(楽しみにする)

元の動詞と異なる意味になるのが句動詞の難しい点です。
句動詞は、特に話し言葉でよく使われます。個々の単語の意味からその意味を予測するのが難しいことが多いため、学習者にとっては少し難しく感じることもあります。それでも、句動詞の基本的な構造を理解すれば覚えやすくなります。

句動詞の基本構造
句動詞は主に3つのパターンで構成されます。
- 動詞 + 副詞
例:give up(あきらめる) - 動詞 + 前置詞
例:look after(世話をする) - 動詞 + 副詞 + 前置詞
例:get along with(〜とうまくやっていく)

この構造を理解することで覚えやすくなります。
句動詞の使い方や種類とは
句動詞の使い方は、「分離できるかできないか」によって異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
- 分離できる句動詞(separable phrasal verbs)
例:Turn the light off. - 分離できない句動詞(inseparable phrasal verbs)
例:I will look after my sister.
分離可能な句動詞(動詞+副詞)
「動詞+副詞」の組み合わせの多くは分離可能です。つまり目的語を動詞と副詞の間に置くことができます。
- Turn off the light.(電気を消して。)
- Turn the light off.(電気を消して。)
上記の例文はどちらも正しいです。
分離可能なのは、目的語がある他動詞に限ります。自動詞の場合、目的語を取らないので分離という概念自体がないからです。

ただし、目的語が代名詞の場合は分離が必須です(後述)
分離必須の句動詞(目的語が代名詞)
目的語が代名詞(itやthemなど)の場合は分離必須です。代名詞を必ず動詞と副詞の間に入れなければなりません。
- 正)Turn it off.(それを消して。)
- 誤)Turn off it.(✖)
目的語が名詞の場合は、句動詞の間か後ろに置くことができます。しかし、目的語が代名詞の場合、必ず動詞と副詞の間に入れる必要があります。英語では、目的語の代名詞は動詞の近くに置く傾向があるからです。そのため、「句動詞の後ろ」ではなく「動詞の後ろ」、つまり「動詞と副詞の間」に入れる必要があります。

「代名詞は動詞の近く」と覚えると覚えやすいです。
分離不可能な句動詞(動詞+前置詞)
「動詞+前置詞」の組み合わせは基本的に分離不可能です。目的語を動詞と前置詞の間に置くことはできず、目的語は句動詞の後に置きます。
- 正)I will look after my sister.(私は妹の世話をする。)
- 誤)I will look my sister after.(✖)
句動詞では、動詞と前置詞のつながりが強いため、分離すると意味が崩れてしまいます。

「動詞と前置詞は結びつきが強い」と覚えると覚えやすいです。
分離不可能な句動詞(動詞+副詞+前置詞)
「動詞+副詞+前置詞」の組み合わせは基本的に分離不可能です。
- 正)Put up with his behavior.(彼の態度に我慢して。)
- 誤)Put his behavior up with.(✖)
- 誤)Put up his behavior with.(✖)
「put up with」は「我慢する」という意味ですが、これは「put」「up」「with」の文字通りの意味とはまったく異なっています。それぞれを切り離してしまうと意味が通じなくなってしまいます。

「複数語の句動詞はセットで機能する」と覚えると覚えやすいです。
分離不可能な句動詞(自動詞型)
自動詞型の句動詞(intransitive phrasal verbs)は分離不可能です。自動詞は目的語を取らないため、分離することはありません。
- The plane took off.(飛行機が離陸した。)
- She grew up in New York.(彼女はニューヨークで育った。)

自動詞は目的語がないので、分離という概念自体がないからです。
句動詞が分離が可能か不可能かをまとめると以下になります。
句動詞の種類 | 分離可否 | 説明 |
---|---|---|
動詞+副詞 | 分離可能 | 目的語がある他動詞限定 |
目的語が代名詞 | 分離必須 | 代名詞は動詞の後 |
動詞+前置詞 | 分離不可 | 動詞と前置詞はセット |
動詞+副詞+前置詞 | 分離不可 | 複数語はセット |
自動詞の句動詞 | 分離不可 | 目的語がないので分離なし |
句動詞の特徴や覚えるコツ
句動詞の特徴や覚えるためのコツを紹介します。句動詞を覚える際は、これらを意識してみてください。
- 意味が直訳できないことが多い
多くの句動詞は、動詞と前置詞・副詞の意味を単純に足したものではなく、独自の意味を持ちます。たとえば、give upは「諦める」という意味ですが、give(与える)やup(上に)の意味からは導き出せません。 - 複数の意味を持つことが多い
句動詞の中には、文脈に応じて意味が変わるものもあります。例えば、pick upは「拾う」だけでなく、「覚える」や「電話を取る」などの意味もあります。 - イメージで覚える
動詞や副詞・前置詞の基本的なイメージを理解することで、句動詞全体の意味が掴みやすくなります。例えば、take offは「取り去る」という基本的なイメージから、「離陸する」や「脱ぐ」などの意味に派生しています。 - 句動詞は日常会話で覚える
句動詞は日常会話、特に話し言葉でよく使用されます。実際に例文や会話の中で使用されている句動詞を覚えることで、意味や使い方が自然に身につきます。
よく使われる句動詞の例
よく使われる句動詞をいくつか紹介します。
- Wake up(目を覚ます)
I wake up at 7 AM.
私は朝7時に起きる。 - Give up(あきらめる)
Don’t give up!
あきらめるな! - Pick up(拾う、迎えに行く)
Can you pick me up at the station?
駅まで迎えに来てくれる? - Set up(設立する、準備する)
We set up a new project.
私たちは新しいプロジェクトを立ち上げた。 - Look into(調査する)
I will look into the issue.
その問題を調査します。 - Follow up(フォローする)
I’ll follow up on the email.
そのメールについてフォローします。 - Get along with(〜とうまくやる)
She gets along well with her coworkers.
彼女は同僚とうまくやっている。 - Break up(別れる)
They broke up last year.
彼らは去年別れた。 - Run into(偶然出会う)
I ran into my old friend yesterday.
昨日、昔の友達に偶然会った。

それほかのよく使われる句動詞は以下の記事で紹介しています。

まとめ
この記事では、句動詞の意味と使い方について解説しました。
句動詞は、基本の動詞と前置詞・副詞が組み合わさり、新しい意味を持つ表現です。分離可能・分離不可能・自動詞型などの種類があり、日常会話やビジネス英語で頻繁に使われます。例文とセットで覚えたり、実際に使いながら学習することで、効率よく身につけることができます。ぜひ積極的に活用してみてください!