私たちが日常的に使っている「テキスト」という言葉。英語の「text」も同様に「文章」や「教科書」を意味しますが、その語源や現代ならではの使われ方を深掘りすると、言葉が時代とともに進化していく面白い過程が見えてきます。
「text」の語源は、ラテン語で「織る」を意味する「texere」に遡ります。ここから派生した「textus」は、「織物」や「言葉の構造」を意味するようになりました。言葉を一本一本の糸に見立て、それらを紡いで織り上げたものが「文章(text)」であるという、非常に詩的な成り立ちを持っています。ちなみに、「布地」や「織物」を意味する「textile」も同じ語源から生まれた言葉です。
現代の英語圏において「text」の最も特徴的な使い方は、動詞としての役割です。携帯電話やスマートフォンの普及に伴い、「text」は「メッセージ(SMS)を送る」という意味の動詞として定着しました。例えば「あとでメッセージを送るね」と言いたいとき、英語では「I will text you later.」と表現します。「send a message」と言うよりもはるかに短く、日常会話で頻繁に使われます。
また、関連語を使った面白い表現に「textbook」を用いた慣用句があります。本来は「教科書」を意味しますが、「a textbook example(教科書通りの例、絵に描いたような例)」のように、形容詞的に「典型的な」「お手本のような」という意味合いで使われることがよくあります。
文法的なポイントとして、「text」は使われる文脈によって数えられる名詞(可算名詞)にも、数えられない名詞(不可算名詞)にもなります。スマートフォンのメッセージ1件2件を指す場合は「I got a text.(メッセージが1件届いた)」と数えますが、本の中の「文章」やコンピュータの「文字データ」を指す場合は、ひとまとまりの概念として数えずに扱われます。
このように、「text」という言葉は古代の織物から始まり、現代のデジタルコミュニケーションの中心にまで形を変えて生き続けています。次に誰かに「テキスト」を送る時は、言葉を織り合わせるようなイメージを持ってみると、コミュニケーションがより味わい深いものになるかもしれません。
