前置詞の目的語(object of a preposition) とは、前置詞のあとに続く名詞や代名詞のことです。前置詞と目的語はセットで使われ、場所・時間・手段・原因など、さまざまな情報を加える役割があります。この記事では、前置詞の目的語の意味や使い方についてわかりやすく解説します。
基本品詞10
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前置詞の目的語とは何か?
前置詞の目的語(object of a preposition)とは、前置詞のあとに続く名詞や代名詞のことです。前置詞と目的語はセットで使われ、場所・時間・手段・原因など、文に追加の情報を加える役割があります。
たとえば、次の文をみてみましょう。
- She sat on the chair.
彼女は椅子の上に座った。 - We talked about her.
私たちは彼女について話した。
このように、「on」「about」などの前置詞のあとに置かれる「the chair」「her」が「前置詞の目的語」です。前置詞のあとには、必ず名詞や代名詞、名詞句が続きます。

前置詞と目的語がセットになったものは「前置詞句(prepositional phrase)」と呼びます。
前置詞の目的語の使い方とルール
前置詞の目的語の使い方やルールをわかりやすく解説します。
目的語は名詞・代名詞・名詞句
前置詞の目的語は、基本的に名詞・代名詞・名詞句を使います。
- She is interested in music.(名詞)
彼女は音楽に興味がある。 - I spoke to him.(代名詞)
私は彼と話した。 - They walked through the park.(名詞句)
彼らは公園を散歩した。
誤った例も紹介しましょう。
- 誤:She talked about happy.(×)
→ 前置詞のあとに形容詞だけは使えません。 - 正:She talked about her happiness.(○)
→ 前置詞のあとは名詞(名詞句)を使います。 - 正:She talked about happy endings.(○)
→ 形容詞+名詞の「名詞句」なので正解例です。

前置詞の直後が形容詞でも、それが形容詞+名詞の「名詞句」であれば、前置詞の目的語として使えます。
代名詞は目的格にする
前置詞の目的語に代名詞を使うときは、主格(I, He, She…)ではなく、目的格(me, him, her…)を使います。
- 正:This gift is for him.(○)
- 誤:This gift is for he.(×)
(この贈り物は彼のためです)
- 正:I spoke to her.(○)
- 誤:I spoke to she.(×)
(私は彼女と話した)
目的格の代名詞:me / you / him / her / it / us / them

動詞を使う場合は動名詞になる
前置詞の目的語に動詞を使うときは、動名詞(〜ing形)に変えます。
- 正:He is good at playing tennis.(○)
- 誤:He is good at play tennis.(×)
(彼はテニスが上手です)
動名詞は名詞の役割があるため、前置詞の目的語として使うことができます。

何はともあれ、前置詞のあとは「名詞相当語句」を置きましょう。

前置詞の目的語と他の目的語の違い
英語では目的語と呼ばれる言葉はいくつかあり、使い方によって種類がわかれます。
- 直接目的語
⇨ 動作の対象。他動詞の後に置かれる。
例:She read a book.
(彼女は本を読んだ) - 間接目的語
⇨ 動作の受け手。直接目的語の前に置かれる。
例:She gave me a book.
(彼女は私に本をくれた) - 前置詞の目的語
⇨ 前置詞の意味を完成させる名詞や代名詞。前置詞のあとに置かれる。
例:She gave a book to me.
(彼女は本を私にくれた)
「me」という同じ単語でも、前に前置詞があるかどうかで文法上の扱いが異なります。前置詞の目的語とは、前置詞の直後に置かれる名詞や代名詞です。そのため、動詞の目的語(直接目的語・間接目的語)とは区別され、前置詞が必ず直前にあるのが特徴です。
よく使われる前置詞と目的語の例
前置詞の目的語は、前置詞とセットで「どこで」「いつ」「誰と」「何について」などの情報を表す重要な役割を持っています。
前置詞 | 例文 |
---|---|
in(〜の中で) | She is in the room. 部屋の中にいる。 |
on(〜の上で) | The book is on the table. 本がテーブルの上にある。 |
at(〜で) | I met him at the station. 駅で彼に会った。 |
with(〜と一緒に) | I went with my friend. 友達と一緒に行った。 |
for(〜のために) | This gift is for you. このプレゼントはあなたのため。 |
about(〜について) | We talked about the movie. 映画について話した。 |
by(〜によって) | The book was written by her. その本は彼女によって書かれた。 |
from(〜から) | He came from Tokyo. 彼は東京から来た。 |
to(〜へ) | She goes to school. 彼女は学校へ行く。 |
of(〜の) | The legs of the chair are broken. その椅子の脚が壊れている。 |

「よく使われる前置詞」は以下の記事で例文付きで紹介しています。

場所を表す前置詞
- in the room(部屋の中)
- at the station(駅で)
- under the table(テーブルの下)
- behind the door(ドアの後ろ)
時間を表す前置詞
- at noon(正午に)
- on Monday(月曜日に)
- before the meeting(会議の前に)
手段・原因・関係を表す前置詞
- by car(車で)
- because of the rain(雨のために)
- about the problem(その問題について)

「よく使われる前置詞」は以下の記事で例文付きで紹介しています。

動詞 + 前置詞のパターン
動詞の中には、特定の前置詞とセットで使われるものもあります。これらはセットで覚えると理解しやすくなります。
- I’m looking for my keys.
私は鍵を探している。 - They talked about the problem.
彼らはその問題について話し合った。 - Success depends on effort.
成功は努力次第だ。
このように、「動詞+前置詞+目的語」で一つの意味を成すため、セットで覚えると便利です。こうした組み合わせの中には「句動詞」と呼ばれる特別な意味を持つ表現もあります。句動詞は英語でよく使われる重要な表現なので、ぜひ以下の記事でチェックしてみてください。


形容詞・過去分詞 + 前置詞のパターン
一部の形容詞や過去分詞も、特定の前置詞とセットで使われることがあります。
- I’m interested in art.
私は芸術に興味がある。 - She is afraid of dogs.
彼女は犬が怖い。
この場合、「in art」「of dogs」が前置詞句で、その目的語が意味を完成させています。
このようなよく使われる単語の組み合わせを「コロケーション」と呼びます。よく使われる「形容詞+前置詞」のコロケーションは以下の記事で紹介しているのでぜひチェックしてみてください。

前置詞の目的語を使うときの注意点
前置詞の目的語を使うときの注意点やポイントをまとめました。
- 目的語は名詞・代名詞・名詞句を使う。
- 目的語に代名詞を使う場合は目的格(me, him, us など)を使う。
- 目的語に動詞を使う場合は動名詞形(-ing形)を使う。
- 疑問文や関係詞節で、前置詞の目的語になる疑問詞(what, who, whichなど)が文頭に移動すると、前置詞が文末に残ることがある(前置詞残置)。
例:What are you looking at?(何を見ているの?) - that節は前置詞の目的語には使わず、代わりに名詞節(what, whetherなど)や動名詞を使う。
誤:I’m thinking about that he will come.(×)
正:I’m thinking about whether he will come.(○)
正:I’m thinking about him coming.(○)
まとめ
この記事では、前置詞の目的語の意味と使い方について解説しました。
前置詞の目的語とは、前置詞の後に置かれる名詞・代名詞・名詞句のことで、文の意味を詳しく補足する役割があります。前置詞とその目的語がセットになったものを「前置詞句」と呼び、場所・時間・手段・原因・関係など、文の意味をより具体的に示すために使われます。前置詞の目的語を正しく使うことで、英語の表現力や文法理解が深まるので、ぜひ意識して使ってみてください。