南米で話されている言語ランキング

南米の地図

今回は「南米で話されている言語ランキング」を紹介します。

南米と言えば、スペイン語ポルトガル語のイメージがありますが、どちらの言語が多く話されているのでしょうか。南米で最も人口が多い国はポルトガル語圏のブラジルですが、スペイン語は多くの国の公用語になっています。それだけでなく、英語などのヨーロッパ言語や、400以上の先住民言語など、南米では実に多様な言語が話されています。どの言語が最も多く話されているのか、順番に見ていきたいと思います。

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スペイン語 2.14億人

南米で最も話されている言語はスペイン語です。

Ethnologueによると、2020年のスペイン語の総話者数は約2.14億人です。2位のポルトガル語が約2.11億人なので、その差はわずか300万人ほどです。統計次第では順位が変わりそうな結果ですね。

南米12か国のうち、スペイン語が公用語の国は9か国です。南米で最もスペイン語話者が多い国はコロンビアの約5100万人です。次いで、アルゼンチン(約4500万人)、ベネズエラ(約3200万人)、ペルー(約3000万人)、チリ(約1900万人)、エクアドル(約1700万人)、ボリビア(約1000万人)と続きます。

Worldometersによると、2020年の南米の人口が約4.27億人なので(2022年は約4.38億人)、南米の人口の50%はスペイン語を話す、という計算になります。

スペイン語は、1492年にクリストファー・コロンブスがアメリカ大陸に到達して以降、南米に持ち込まれました。そこから始まったスペインの植民地支配は、1820年代に各国が独立するまで、約300年間続きました。独立後は、各国のエリート層によって、国家の統一性を確保するために、言語統一運動が推進されました。このような背景から、スペイン語は現在の南米諸国に定着することとなりました。
参考 なぜスペイン語とポルトガル語は南米で話されているのか

ポルトガル語 2.11億人

南米で2番目に話されている言語はポルトガル語です。

ポルトガル語の総話者数は約2.11億人です。1位のスペイン語(2.14億人)とは300万人の差です。

南米でポルトガル語が公用語の国は、ブラジル1か国のみです。ブラジルの人口は約2.12億人(2020年)で、約98%がポルトガル語話者です。そのため、南米で話されるポルトガル語のほとんどはブラジルになります。ブラジル以外では、近隣の5か国、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ベネズエラなどで話されています。

ブラジルの人口は南米の半分を占めるので、南米のおよそ48%*はポルトガル語を話します。そのため、ポルトガル語とスペイン語だけで、南米言語の98%を占めることになります。

*2.12 × 0.98 ÷ 4.27 = 48.65%
ちなみに、ポルトガル語もスペイン語も、もともと俗ラテン語(話し言葉のラテン語)から誕生した言語です。そのため、現在でも多くの文法や単語が共通していて、相互理解が可能と言われています。
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ケチュア語 800万人

南米で3番目に話されている言語はケチュア語です。

ケチュア語の総話者数は約800万人です。主に、ペルー(約400万人)、ボリビア(約200万人)、エクアドル(約200万人)、アルゼンチン、チリ、コロンビアで話されています。ボリビアやペルーでは公用語の1つです。

ケチュア語は、インカ帝国(1438–1533)の公用語になっていた言語です。ケチュア語には文字はなく、インカ帝国時代はキープ(khipu)と呼ばれる縄の結び目で情報を記録していました。現在では主にアンデス山脈付近で話されていますが、話者数は年々減少しています。

英語 700万人

南米で4番目に話されている言語は英語です。

母語話者と第二言語話者を含め、約700万人の話者がいます。話者の多くはアルゼンチンやコロンビアに住んでいます。他にも、ガイアナ、ブラジル、チリ、スリナム、ベネズエラなどで話されています。人口が約80万人のガイアナでは英語が公用語になっています。

グアラニー語 600万人

南米で5番目に話されている言語はグアラニー語です。

アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ボリビアなど約600万人に話されています。パラグアイでは公用語の1つで、スペイン語とグアラニー語が混ざったジョパラ(Jopara)という方言も話されています。

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アイマラ語 250 万人

南米で6番目に話されている言語はアイマラ語です。

ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチンなど、約250万人に話されています。ペルーとボリビアでは公用語の1つになっています。

ちなみに、ペルーの公用語はスペイン語、ケチュア語、アイマラ語の3つ、ボリビアではそれらを含む約37言語が公用語になっています。
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その他の言語

南米で話されているその他の言語です。

  • ドイツ語 … 約200万人
  • イタリア語 … 約150万人
  • アラビア語 … 約100万人
  • 中国語 … 約50万人
  • 日本語 … 約40万人
  • フランス語 … 約30万人
    ※フランス領ギアナの公用語
  • オランダ語 … 約30万人
    ※スリナムの公用語

※人数は調査団体によって異なるのでおおよその数値です。

別の記事で「南米で話されている公用語・言語一覧【国別】」もまとめています。

南米にも日本語話者が40万人ほどいるとされています。南米各地には、日本人村と呼ばれる日本人コミュニティがあり、そこに住んでいる方も沢山います。南米への日本人の移住は、1908年にブラジルへ旅立った「笠戸丸」から始まりました。1920年代以降は、政府の後押しもあり、何十万人もの日本人が南米へ移住しました。現在、南米に住んでいる日系人は200万以上と推計されています。

※言語ランキングの厳密な話者数は統計方法・団体によって異なるため、およその数値です。「話者」の定義によっても順位は変動します。

<参考サイト>
Ethnologue
Worldometer

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