アメリカの大学で学習されている外国語トップ10

自由の女神

今回は「アメリカの大学で最も学習されている外国語トップ10」についてご紹介します。

アメリカで最も人気がある言語は何だと思いますか?フランス語、スペイン語、日本語など、すべての言語の学習状況を把握するのは困難ですが、MLA(米国現代言語協会)では、外国語の学習状況を測る目安として、「大学の外国語科目の履修者数」を集計しています。これは外国語学習における国勢調査のようなものですね。履修者数=人気、とは一概には言えませんが、このデータは「アメリカで最も人気のある外国語」を分析する1つの参考にもなります。

どの外国語の学習者が最も多いか

下の表はMLAによる「米高等教育機関における外国語科目の履修登録者数(2016年)」です。

言語 登録人数 割合 増減
1 スペイン語 712,240 50.2% -9.8
2 フランス語 175,667 12.4% -11.1
3 アメリカ手話 107,060 7.6% -2.3
4 ドイツ語 80,594 5.7% -7.1
5 日本語 68,810 4.9% +3.1
6 イタリア語 56,743 4.0% -20.1
7 中国語 53,069 3.7% -13.1
8 アラビア語 31,554 2.2% -5.9
9 ラテン語 24,866 1.8% -8.6
10 ロシア語 20,353 1.4% -7.4
全体 1,417,921 100% -9.2

出典:“Enrollments in Languages Other Than English in United States Institutions of Higher Education” Modern Language Association

※調査対象期間は2013年秋~2016年秋です。「登録人数」は2016年の人数、「増減」は2013年から2016年までの期間にどのくらい人数が増減したかの率(%)です。調査対象は米国の高等教育機関(大学・大学院)の2547校、登録者の総数は141万7921人です。

MLAによれば、アメリカで最も学習されている言語はスペイン語です。次いでフランス語、アメリカ手話、ドイツ語、日本語と続きます。

先に全体的な結果を見ると、アメリカの大学における外国語科目の履修者数は、2013年から2016年にかけて約9.2%減少しています。減少人数は14万3210人。これは、1972年の12.6%に次ぐ、2番目に大きな減少だったそうです。世界1位の経済大国を誇り、英語が世界共通語になっている現在、アメリカの大学生が外国語を学ぶ優先度が低下しているのかもしれません。

参考 英語はなぜ世界共通語になったのか
参考 最も単語数が多い言語は英語なのか?

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スペイン語 Spanish

アメリカの大学で最も学習されている外国語はスペイン語です。履修者数は71万2240人で、全体の50.2%、外国語履修者の2人に1人はスペイン語を選択している計算になります。1970年に当時1位のフランス語を追い抜き、現在まで約50年間1位に選ばれ続けています。スペイン語の人気は1990年頃から急増し始め、現在では2位のフランス語(17万5667人)と4倍の差があります。

スペイン語が最も選ばれている一因は、最も身近な言語だからです。以前も紹介しましたが「アメリカで話されている言語」の第2位はスペイン語です。アメリカ人の7人に1人はスペイン語母語話者で、その数は4100万に達します。ラテン系アメリカ人の間では、英語とスペイン語を混ぜたスパングリッシュ(spanglish)も浸透しています。2050年には、アメリカのスペイン語話者は1億人を超えるとも推計されています。

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フランス語 French

2番目はフランス語です。履修者数は17万5667人で、全体の12.4%です。1958年はフランスが1位でしたが、1970年にスペイン語に追い抜かれて2位になりました。爆発的に増加するスペイン語学習者に反して、フランス語学習者の数は緩やかな減少傾向にあります。

アメリカ手話 American Sign Language

3番目はアメリカ手話です。履修者数は10万7060人で、全体の7.6%です。手話がランクインされているのは、調査の対象となった外国語が、英語以外の言語(languages other than English)のことを指しているからです。手話も1つの言語です。アメリカ手話は1990年からカリキュラムに組み込まれ、履修者は緩やかな増加傾向にあります。現在、約50万人がアメリカ手話を使用しています。

ドイツ語 German

4番目はドイツ語です。履修者数は8万594人で、全体の5.7%です。ドイツ語も緩やかに減少している言語の1つで、2013年にアメリカ手話に追い抜かれて4位になりました。

日本語 Japanese

5番目は日本語がランクインしました。履修者数は6万8810人で、全体の4.9%です。2013年から2016年の増減率は+3.1%で、トップ10の外国語の中では、唯一微増しています。近年は毎年6~7万人ほどの履修登録者がいるようです。前に「英語ネイティブにとって難しい言語」で紹介しましたが、日本語は英語話者にとって非常に難しい言語(super-hard languages)です。英語母語話者が日本語をマスターする時間で、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語の3つが習得できるという統計結果も出ています。それなのに日本語が5位に選ばれているのは嬉しいですね。

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その他にも、トップ10にはイタリア語、中国語、アラビア語、ラテン語、ロシア語がランクインされています。

今回は「アメリカの大学で最も学習されている外国語トップ10」を紹介しました。このランキングは、アメリカで人気のある外国語を分析する1つの参考にもなります。

まとめ
  • アメリカの外国語学習者は全体的に減少している
  • アメリカで最も学ばれている外国語はスペイン語
  • 米国の外国語学習者の2人に1人はスペイン語を選択

参考 アメリカで話されている言語ランキング
参考 アメリカの幼稚園から高校で最も学習されている外国語

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