スペイン語の「miércoles(ミエルコレス)」は水曜日を意味する言葉ですが、その背後にはローマ神話や天文学などと深いつながりがあります。この記事では、スペイン語の「miércoles」の語源や文化的な背景、現代の使い方について詳しく見ていきます。
スペイン語「miércoles」の由来・語源とは
スペイン語の「miércoles」は、ラテン語の「dies Mercurii(ディエス・メルクリイ)」に由来しており、これは「メルクリウスの日」を意味しています。メルクリウス(Mercurius)はローマ神話に登場する商業・通信・旅行の守護神で、英語ではマーキュリー(Mercury)として知られいます。古代ローマでは、メルクリウスが水曜日を象徴する神として認識されていました。また、水星(Mercury)の名前の由来にもなっています。
ラテン語の子孫であるロマンス諸語では、曜日の名前がローマ神話や天体にちなんで名付けられています。たとえば、そのほかのロマンス諸語でも、水曜日は以下のようにメルクリウスに由来しています。
- フランス語: mercredi
- イタリア語: mercoledì
- ガリシア語: mércores
- ガリシア・ポルトガル語(古ポルトガル語): mercores
現代のポルトガル語の水曜日は「quarta-feira(第四の日)」と言いますが、古ポルトガル語では「mercores」が使われていました。
スペイン語「miércoles」と英語「Wednesday」のつながり
スペイン語の「miércoles」の背景には、ローマ神話のメルクリウス(マーキュリー)が深く関わっていました。マーキュリーは、ギリシャ神話ではヘルメス(Hermes)として知られ、神々の使者としての役割を果たすとともに、商業や取引、知恵を象徴する神でもありました。また、速さや機知に優れた存在としても描かれています。
興味深いことに、スペイン語「miércoles」は英語の「Wednesday」とも共通点があります。英語のWednesdayは、北欧神話のオーディン(Odin)、またはウォドン(Woden)に由来しています。オーディンもまた知恵と速さを象徴する神であり、マーキュリーと共通する属性を持っています。そのため、ゲルマン人がローマ文化に触れた際、マーキュリーとウォーデンを同一視したそうです。このように、ゲルマン民族が異なる神々を同一視する習慣は「Interpretatio germanica(ゲルマン解釈)」として知られています。
異なる語源の単語が、共通する属性をもとに結びつけられるのは興味深いですね。
スペイン語「miércoles」の現代的な使い方
現代のスペイン語では、「miércoles」を「X」と略して表記することがあります。この「X」の使用については、いくつかの説がありますが、第一に、火曜日の「martes」と区別するためだといわれています。また、ラテン語の「merx(商品)」と関連しているという説もあるようです。
さらに、スペイン語圏では「miércoles」が独特の使われ方をすることがあります。特に南米の一部地域では、「miércoles」が軽い感嘆詞として使われることがあり、強い言葉を避けたいときに「¡Miércoles!(なんてこった!)」と言い換えることで、穏やかなニュアンスで感情を表現することができます。この表現の由来もさまざまですが、下品な言葉「mierda(クソ)」の代わりに使われるようになったと考えれています。
もちろん「miércoles」は日常会話でもよく使われる言葉です。水曜日は週の中間に位置しているため、週末に向けてモチベーションを保つための大切な日でもありますね。
「miércoles」を使ったいくつかのフレーズも見てみましょう。
- el próximo miércoles
次の水曜日 - el miércoles pasado
先週の水曜日 - miércoles por la tarde
水曜日の午後
まとめ
今回は、スペイン語の「miércoles」の意味や由来について紹介しました。「miércoles」はローマ神話や天文学などによって形作られ、現在まで伝わってきました。また、フランス語や英語などとも深い関わりがあります。次にこの言葉を使うとき、その背後にある歴史や文化を少し思い返してみると、より一層興味深く感じられるかもしれません。
言語を勉強するときは、こうした背景を知ることで、より楽しみながら言葉を覚えることができると思います。