英語で「呼吸する」といえばbreatheですが、ラテン語由来のrespireもまれに使われます。ラテン語由来の単語は専門用語に多く、respireも医学や生物学などで使われています。
breatheとrespireの大まかな違いは以下の通りです。
- breathe:呼吸する、ゲルマン語由来、本来語、一般的
- respire:呼吸する、ラテン語由来、借用語、専門的、医学用語
本来語(英:native word, ネイティブワード)とは、元々英語にあった言葉のことで、古英語やゲルマン祖語に由来する単語です。借用語とは、主に11世紀のノルマン・コンクエスト以後、フランス語やラテン語から英語に取り入れられた単語です。
respire(呼吸する)とrespiration(呼吸)は14世紀後半に英語になりました。
一般的に使われるのは元からあるbreatheです。例えば、breathe deeply(深呼吸をする)や、breathe fresh air(新鮮な空気を吸う)などのフレーズのように日常的に使われます。
一方、respireは医学や生物学などの専門分野で使われます。例えば、the patient is respiring(患者は呼吸している)のようなフレーズです。使うより見る方が多い単語かもしれませんね。
respireは、ラテン語の動詞respirare(吐き出す、呼吸する)や、spirare(呼吸する、吹く)に由来します。冒頭のre-は「再び、元に、繰り返し」を意味する接頭辞です。
ラテン語のspirareは、子孫のロマンス諸語にも引き継がれているので、多言語学習者は一緒に覚えしまうと効率的ですね。
- ラテン語:spirare/スピラーレ
- ラテン語:respirare/レスピラーレ
- イタリア語:respirare/レスピラーレ
- スペイン語:respirar/レスピラール
- フランス語:respirer/レスピレ
- ポルトガル語:respirar/ヘスピラル
- 英語:respire/リスパイアー
ラテン語のspirareが残した単語は、イタリア語のspirare(風が吹く)や、スペイン語のespirar(息を吐く)など数多くあります。
英語のspirit(精神、霊魂)もラテン語のspirareに由来しています。
英語の場合は、spireなどの語根としても残っています。分かりやすいのは、接頭辞と組み合わせたパターンで、ex-(外に)やin-(中に)を付け足したexpire(期限が切れる)やinspire(鼓舞する)などがあります。そこから-tionなどの接尾辞を付け足した、expiration(満期)やinspiration(鼓舞、ひらめき)などにも派生していきます。
expiration = ex + spire + ation
inspire = in + spire
inspiration = in + spire + ation
語根のspireを使ったその他の単語は「spir, spire(呼吸)が含まれる英単語」で紹介しています。
breatheとrespireの違い。
- breathe:一般的、ゲルマン語由来
- respire:専門的、ラテン語由来