employer (エンプロイヤー) とemployee (エンプロイー) の違い

ビジネス

今回はemployer(エンプロイヤー)とemployee(エンプロイー)の違いについて振り返ります。

前回「interviewerとintervieweeの違い」についてまとめましたが、今回の場合も、語尾の-erは「~する人」、語尾の-eeは「~される人」という意味を持っています。

  • employer(エンプロイヤー)
    雇い主、雇用者、使用者、社長
  • employee(エンプロイー)
    雇われている人、被雇用者、従業員

2つの単語を分解すると、どちらもemploy(雇用する)に、「~する」を意味する-erか、「される人」を意味する-eeを組み合わせた構造になっています。

  • employ + er (する人) = employer
  • employ + ee (される人) = employee

employ(雇用する)の語源をたどると、中世フランス語のemployer(雇用する)、古フランス語のemploiier(使う)、ラテン語のimplicare(包む、関与する)に由来します。接頭辞のem-やim-は「中に」を意味するを接頭辞で、plicareやployはラテン語で「折りたたむ」という意味があります。「中に折りたたむ」→「中に結びつける」というような意味から転じて、「雇用する」を意味するようになりました。

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空白の250年

employerやemployeeが使用され始めた時期を見てみると、EtymonlineWiktionaryによれば、employer(雇用者)は中世フランス語のemployerから借用され、1590年代から使われ始めました。一方、employee(被雇用者)はフランス語のemployéから借用され、1850年頃から主にアメリカで使用され始めたそうです。

「雇う人」と「雇われた人」の使用開始時期には空白の250年が存在しますが、これは似たような意味のworker(働く人)やlaborer(労働者)という言葉が、14世紀半ばから既に使われていたことが原因だと思われます。元々同じような意味の単語があるのなら、わざわざ他の言語から借用する必要性はありませんよね。また、-erがゲルマン語由来の接尾辞なのに対して、-eeがアングロ=ノルマン語から借用された後発の接尾辞というのも理由として考えられます。

  • employer (雇用者) : 1590年頃~
  • employee (被雇用者) : 1850年頃~
  • worker (働く人) : 1350年頃~
  • laborer (労働者) : 1350年頃~

labor(労働)もフランス語やラテン語に由来する言葉ですが、work(働く)はゲルマン語に由来する本来語(native word)です。450年頃から1150年頃まで話されていた古英語から使われていた、いわば慣習的な単語です。古英語から引き継がれているネイティブワードは、最早20~30%程度しか使用されていないので、workはある意味貴重な単語といえるかもしれませんね。

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まとめ
  • employerは、employ +er(~する人)で「雇い主」
  • employeeは、employ +er(~される人)で「雇われている人」

単語の意味に困ったらぜひ語尾や接尾辞を確認してみてください。

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