南米で話されている公用語・言語一覧【国別】

南米の地図

今回は「南米で話されている公用語・言語」を国別にまとめました。

南米で話されている言語のほとんどはスペイン語ポルトガル語ですが、植民地時代にもたらされたヨーロッパ言語や、先コロンブス期から存在する400以上の先住民言語など、実に多様な言語が話されています。

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南米の公用語一覧

南米で公用語になっている言語は、スペイン語、ポルトガル語、英語、オランダ語、フランス語、30以上の先住民言語です。

南米の公用語一覧
国・地域 公用語
アルゼンチン スペイン語
ウルグアイ スペイン語
エクアドル スペイン語
ガイアナ 英語
コロンビア スペイン語
スリナム オランダ語
チリ スペイン語
パラグアイ スペイン語、グアラニー語
ブラジル ポルトガル語
フランス領ギアナ フランス語
ベネズエラ スペイン語
ペルー スペイン語、ケチュア語、アイマラ語
ボリビア スペイン語、他36の先住民言語

南米12か国のうち、公用語がスペイン語なのは9か国で、南米の大半(75%)を占めます。公用語がポルトガル語なのはブラジルの1か国のみ、英語はガイアナの1か国、オランダ語はスリナムの1か国です。パラグアイ、ペルー、ボリビアでは、スペイン語の他にも先住民言語が公用語になっています。フランス領ギアナはフランスの海外県で、公用語はフランス語です。

南米で話されている言語一覧

南米は言語的に多様な地域です。400を超える土着の先住民言語や、植民地時代にもたらされたヨーロッパ言語など、多種多彩な言語が話されています。

南米で話されている主な言語一覧
国・地域 話されている言語
アルゼンチン スペイン語、英語、ポルトガル語、イタリア語、アラビア語、ドイツ語、グアラニー語、14の先住民言語
ウルグアイ スペイン語、ウルグアイポルトガル語(ポルトニョール)
エクアドル スペイン語、ケチュア語、23の先住民言語
ガイアナ 英語、ガイアナ・クレオール語、10の先住民言語
コロンビア スペイン語、英語、65の先住民言語
スリナム オランダ語、スラナン語(英語クレオール)、英語、ポルトガル語、スペイン語、14の先住民言語
チリ スペイン語、英語、ドイツ語、イタリア語、マプチェ語、ケチュア語、アイマラ語、先住民言語
パラグアイ スペイン語、グアラニー語、ドイツ語、19の先住民言語
ブラジル ポルトガル語、英語、スペイン語、154の先住民言語
フランス領ギアナ フランス語、ポルトガル語、スペイン語、6の先住民言語
ベネズエラ スペイン語、中国語、ポルトガル語、イタリア語、30の先住民言語
ペルー スペイン語、ケチュア語、アイマラ語、ケチュア語、アイマラ語、50以上の先住民言語
ボリビア スペイン語、ケチュア語、アイマラ語、グアラニー語、33の先住民言語、ドイツ語
※先住民言語の数は分類法に未確定な部分が多いため推定です。

補足

ウルグアイとブラジルの国境付近では、スペイン語とポルトガル語が混ざったウルグアイポルトガル語が話されています。ポルトガル語(português, ポルトゥゲス)とスペイン語(español, エスパニョール)が混ぜ合わさったので「ポルトニョール」とも呼ばれています。

ポルトガル語とスペイン語を混ぜたポルトニョールとは?
スペイン語とポルトガル語はお互いに理解できるほど似ていますが、一部の地域では2つの言語を混ぜ合わせた…

パラグアイでは、90%近くがスペイン語とグアラニー語が両方話せるバイリンガルです。2つの言語を混ぜ合わせたジョパラ(Jopara)と呼ばれる方言も話されています。ジョパラとは、グアラニー語で「混合物」という意味があります。一般的に、農村部に近づくほど、グアラニー語の理解度は高まり、反対にスペイン語の理解度は下がります。この傾向は、他の南米諸国におけるスペイン語と先住民言語の関係にも当てはまります。パラグアイのように社会レベルで2言語が併用されていることを、言語学ではダイグロシア(diglossia)と呼んでいます。

南米の2言語社会(ダイグロシア)の現状と言語政策について
南アメリカの多くの都市部では、スペイン語やポルトガル語の単一言語社会が形成されていますが、実は600…

スリナムでは、60%がオランダ語を話しますが、ほとんどの人が英語ベースのクレオールであるスラナン語(スリナム語)を話します。クレオールとは、ヨーロッパ言語と現地の言語が合わさったピジン言語が、母語になった言語です。ピジンとクレオールの違いは下記の記事でまとめています。

ピジン言語、クレオール言語、混合言語の違いと特徴とは
複数の言語が混ぜ合わせると、ピジン言語、クレオール言語、混合言語などと呼ばれますが、それぞれの違いに…

多文化主義を掲げるボリビアでは、スペイン語の他に36の先住民言語が公用語として認められています。2009年に、17つ目の憲法がエボ・モラレス元大統領によって新たに公布され、スペイン語を含む37つの公用語が制定されました。ボリビアに住んでいるドイツ語話者は、メノナイトと呼ばれるプロテスタントの一派で、約7万人に話されています。

南米では日本語を話す人たちも40万人近くいます。その多くが日本人や日系人で、現在、南米に住んでいる日系人は200万以上と推定されています。

 その他の国の補足については、また改めて追記したいと思います。

南米で話されている言語の50%はスペイン語、48%はポルトガル語で、この2つのヨーロッパ言語だけで98%を占めます。南米には400を超える先住民言語が現存していますが、話者数は年々減少傾向にあります。少数言語の保全運動や多様性の確保は、現在でも喫緊の課題になっています。

参考:南米で話されている言語ランキング
参考:なぜスペイン語とポルトガル語は南米で話されているのか

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