affect(影響する/作用する/ふりをする)とaffection(愛情/好意)は、よく似ている単語ですが、意味がまったく異なるので混乱しますよね。今回は、affectとaffectionの意味の違いとその理由について紹介します。
affectとaffectionの意味の違い
動詞のaffectは「影響する」「作用する」「感動させる」「病気に侵される 」という意味があります。何かが人や状況に与える影響を表現するために使われます。例えば以下のように使います。
- Rainy days affect my mood.
雨の日は気分に影響する。 - His words affected her deeply.
彼の言葉は彼女に大きな影響を与えた。
名詞のaffectionは「愛情」「好意」という意味があります。動詞のaffectに、名詞を作る接尾辞-tionをつけた形なのですが、動詞とは意味がかなり違いますね。例えば以下のように使います。
- I have a strong affection for my family.
私は家族への愛情が強い。 - She had a deep affection for her grandmother.
彼女は祖母に深い愛情を注いでいた。
affectとaffectionの意味が違う理由
affectとaffectionの意味の違いは、起源となったラテン語にさかのぼることができます。時間の経過とともに意味が変化し、異なる意味を持つようになったからです。
動詞のaffectは、ラテン語の動詞afficere(する/作用する/影響する)に由来します。分解すると、ad-は「~に」を意味する接頭辞、facereは「行う/作る」を意味する語根で、外的要因が何かに作用することを意味しています。英語では、15世紀から「作用する/感染する」という意味で使われています。
名詞のaffectionは、古フランス語のafection、さらにはラテン語のaffectio(気質)に由来します。ラテン語のaffectioは、動詞afficereの過去分詞に由来していることもあり、受動的で内面的な感情を表すようになったと考えられます。
また、時間の経過とともに、意味が変化したことも大きな要因です。ラテン語のaffectioはもともと「気質」という意味でしたが、「良い気質」や「愛着」という意味に変化していきました。英語も、12世紀に「欲望、意図」という意味で使われ始めましたが、14世紀半ばには「感情、熱意」、14世紀後半には「愛」を意味するようになりました。
このような「品詞の性質」と「意味の変化」が、affectとaffectionの意味の違いをより大きくさせたと考えられます。
まとめ
動詞のaffect(影響する)と、名詞のaffection(愛情)は、語源がラテン語のafficere(影響する)で共通しているにもかかわらず、異なる意味を持っています。
その理由は、①品詞の性質の違い、②時代の経過とともに意味が変化したからです。
affectが「外的要因が与える影響」を意味するのに対し、afficereの過去分詞に由来するaffectionは「受動的で内面的な感情」を意味するようになったと考えられます。その後、意味が「欲望、意図、熱意、感情、魅力」のように変化していき、現在では「愛情」を意味するようになりました。このような経緯から、affectとaffectionは異なる意味を表すようになりました。