接尾辞の-nessと-lessの意味の違い・語源・由来について

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今回は英語の接尾辞の-ness-lessの意味の違いと語源・由来について振り返ります。

どちらも単語の末尾に付く接尾辞(suffix)の一種ですが、意味が大きく異なります。

  • ness
    「性質・状態」を表す名詞を作る
  • less
    「~のない」を表す形容詞を作る

nlが1文字違うだけで、意味がほぼ正反対になってしまうので、特に気をつけたい接尾辞ですね。

-nessは、形容詞から「そのままの意味の名詞」を作ります。

  • gentleness(優しさ)
    gentle(優しい)+ ness(性質)
  • happiness(幸福)
    happy(うれしい)+ ness(状態)

参考 語尾が「-ness」で終わる英単語

-lessは、名詞から「反対の意味の形容詞(まれに副詞)」を作ります。

  • colorless(無色の)
    color(色)+ less(ない)
  • careless(不注意な)
    care(注意)+ less(ない)

参考 語尾が「-less」で終わる英単語

-nessは汎用性が高く、-less-ousなどの他の接尾辞の後に追加することもあります。名詞を作りたい時はとりあえず-nessを付けてみる、というのも1つの方法です。

  • careless(不注意な)+ ness
    ⇨ carelessness(不注意)
  • conscious(意識的な)+ ness
    ⇨ consciousness(意識)

スペルが長い単語も分解してみると分かりやすいですね。

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-nessと-lessの語源・由来

それぞれの語源をみてみると、-nessも-lessもゲルマン語に由来する接尾辞です。

-nessは、古英語の-nes、さらにはゲルマン祖語の接尾辞*inassuに由来します。オランダの-nis、ドイツ語の-nis、スコットランド語の-nesなどと同族の接尾辞です。例えば「暗闇」を意味する英語のdarknessと、オランダ語のduisternis(ダウスタラニス)は同根語です。Etymonlineなどによれば、ラテン語の接尾辞-tudoと遠縁であるという説もあるようです。-tudoは英語の接尾辞の-tudeの祖先に当たります。-tudeも-nessと同じように「性質・状態」を表す抽象名詞を作りますが、-tudeで終わる英単語はそこまで多くありません。一方、-nessはかなり生産性が高く、ほとんどの形容詞から名詞を作ることができます。

参照:-ness – Etymonline

-lessは、古英語の-leas、さらにはゲルマン祖語の接尾辞*lausazに由来します。オランダ語の-loos、ドイツ語の-losなどと同族の接尾辞です。さらに語源をさかのぼると、インド・ヨーロッパ祖語で「ゆるい、自由な」を意味する*leu-にたどり着きます。ここまで来ると、英語のloose(ゆるい)、lose(失う)、loss(紛失)、solve(解く)、dissolve(溶かす)、absolute(完全な=制約のない)などはどれも親類になってきます。全体的にどれもゆるそうなイメージを持つ単語ですよね。

参照:-less – Etymonline

英語は単語の50%近くがラテン語(もしくはフランス語)に由来するとされていますが、接尾辞もラテン語由来の物が多いですね。-nessも-lessもゲルマン語に由来する接尾辞なので、伝統的と言えるかもしれません。ラテン語系の接尾辞には、名詞を作る-tionや、形容詞を作る-tiveなど実に豊富です。ラテン語の接尾辞が英語で使われている理由は、11世紀のノルマン・コンクエスト(Norman Conquest)によって大量のフランス語の単語がイングランドに持ち込まれたことが一因です。それ以外の理由については以下の記事でまとめているので今回はこの辺で。

参考 英語の歴史を簡単に振り返る
参考 英語の語彙に影響を与えた外国語

今回は、英語の接尾辞の-ness-lessの意味の違い・語源・由来について振り返りました。

まとめ
  • ness:形容詞から「性質・状態」を表す名詞を作る
  • less:名詞や動詞から「~のない」を表す形容詞を作る

それぞれの意味は正反対ですが、どちらもゲルマン語に由来する接尾辞で、英語では古くから使われてきました。接尾辞は、語尾に追加するだけで語彙が増やせる便利ツールなので、ぜひ使ってみてください。

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