ソーシャルメディアやSNSなどのテクノロジーの進歩は、コミュニケーション方法に大きな変化をもたらし、日本語や英語などにも大きな影響を与えました。ただ、多くの人々が科学技術の発展を享受する一方で、言語に及ぼす問題点も懸念されています。そこで今回は、ソーシャルメディアやSNSが言語に与える影響や問題点、について考えてみます。
略語の普及と誤解
ソーシャルメディアやSNSが日本語や英語に与えた変化の1つは、略語や頭字語の普及です。
Twitterなどのプラットフォームでは、文字数に制限があり、メッセージには簡潔さが求められます。そのため、人々はさまざまな略語や頭字語を使って対応してきました。英語では、laugh out loud(大笑い)が「LOL」に、be right back(すぐ戻る)が「BRB」に、oh my God(なんてことだ)が「OMG」に略されることがあります。日本語の場合ですと、「り(了解)」や「とりま(とりあえず、まぁ)」などの略語が使われています。これらの略語は、言いたいことを素早く伝えるのに便利ですが、意味の誤解や礼儀の欠如などのデメリットも生まれています。
絵文字の増加と依存性
ソーシャルメディアやSNSが言葉に与えたもう1つの影響は、顔文字や絵文字(スタンプ)の増加です。
これらの記号や画像は、時には言葉では言い表せない感情や気持ちを伝えることができます。その一方で、送り手と受け取り側で解釈が異なることもあるため、コミュニケーションのすれ違いも生み出しています。また、絵文字やスタンプに過度に依存し過ぎてしまうと、言葉で伝えるのが苦手になってしまうかもしれません。言葉を使う機会が減少し、表現の仕方を忘れてしまえば、コミュニケーションに支障が出てしまいます。
膨大な新語と意味の混乱
ソーシャルメディアの発展によって、膨大な新語が造語されています。
例えば、ハッシュタグ(hashtag)という言葉は、15年前にはほとんど知られていませんでしたが、今ではSNSのいたるところで使われています。他にも、話題が一気に広まることを表すバズる(buzz)も、10年前から広く使用されるようになりました。新しい言葉の多くは、英語で造語されています。米グローバル・ランゲージ・モニター社(Global Language Monitor)の推計によれば、現在の英語の語彙数は、なんと100万以上にも及ぶそうです。
新しい言葉は、新たに発明された概念やアイディアを表現するのに適していますが、把握できないほど爆発的に増えれば、意味の混乱やコミュニケーション不全を引き起こすことになります。
まとめ
今回は「ソーシャルメディアやSNSが言語に与える影響や問題点」について紹介しました。
ソーシャルメディアなどのテクノロジーは、私たちのコミュニケーション方法に革命を起こし、言語にまで大きな影響を及ぼしました。略語・絵文字・新語などの普及は、コミュニケーションを円滑にさせたり、新しい概念を言い表したりするのに適していますが、意味の誤解やコミュニケーション能力の低下などのデメリットも考えられます。言語は常に変化するものなので、その変化を否定することはできませんが、新しい変化が対立を生まないように、注視していきたいですね。