スペイン語で会話するには何単語を覚える必要があるのでしょうか。実は、スペイン語は1000単語で十分理解できる、という研究があるんです。今回は、アメリカのある研究を基に、「スペイン語の会話に必要な単語数」と「スペイン語初学者に最適な単語数」についてご紹介します。
アメリカの言語学者マーク・デイヴィス(Mark Davies)が行った研究によると、次のことが明らかになっています。
- スペイン語を1000単語を学習すると、書き言葉の約80%、話し言葉の約88%を理解することができる。
- スペイン語を2000単語を学習すると、書き言葉の約85%、話し言葉の約93%を理解することができる。
- スペイン語を3000単語を学習すると、書き言葉の約90%、話し言葉の約94%を理解することができる。
この研究によれば、スペイン語の上位1000単語を覚えると、会話の約90%を理解できることになります。1000単語だけでこれほど理解できるなら意欲も上がりますね。
さらに重要なのは、スペイン語の単語を2000語まで覚えても、1000単語を覚えた時と比べて新たに理解できる割合が5%(88%→93%)しか上昇しないことです。さらに1000単語を増やした3000語なら1%(93%→94%)しか理解度は上昇しません。
この結果から、スペイン語初級者がまず覚えた方がよい語彙数は1000語だと言えます。
著者曰く、言語学習には収穫逓減(しゅうかくていげん)の法則があります。収穫逓減とは、投資した見返りが次第に悪くなることで、英語ではdiminishing returnsと呼ばれています。つまり、スペイン語の単語を2000個を覚えるのは1000単語と比べてコスパが悪いと言えるわけです。
もちろん、スペイン語をより理解するにはコスパが悪くても学び続けなければいけません。3000単語を覚えても、話し言葉の6%を理解出来ないのは大きい、と考えることもできます。スペイン語辞典「Diccionario de la Lengua Española」には約10万単語が収録されていますが、一般的なスペイン語ネイティブが持つ語彙数は1万以上とされています(参照:スペイン語にはいくつの単語があるのか)。言いたいことを流暢に話すためには、少なくとも3000単語以上は学習したいところです。
この研究は特にスペイン語初学者にとって有益な情報です。膨大な単語を覚える労力と手間がはぶけ、文法などその他の学習に使える時間が増えるからです。このブログではスペイン語初級者の方が効率的に学べるように「基本単語100」「基本単語1000」「頻出単語2000」など様々な単語リストをまとめています。1日1単語でも10単語でも、まずは1000単語までチャレンジしてみてください。1日3単語を覚えれば1年で、1日10単語を覚えれば3~4ヵ月でスペイン語会話の90%が理解できる、と思えば気持ちも上がりますよね。
最後にスペイン語を学ぶ際の注意点を1つだけ触れたいと思います。スペイン語は英語と比べて、発音がローマ字読みで分かりやすく、会話に必要な語彙数が少ないため、メリットが沢山あるようにも思えます(参照:スペイン語のメリット)。ただ、スペイン語は動詞の活用が非常に豊富です。6つの人称と16種類の時制を掛け合わせると、1つの動詞だけでも100近くの活用形があります。スペイン語が苦手という方は、この活用形の多さを理由に挙げる方もいると思います。
始めのうちは活用形を気にし過ぎないのがお勧めです。
そもそも全ての活用形が頻繁に使われるわけではありません。以前「スペイン語で最も使われる動詞の活用形50選」をまとめましたが、上位のほとんどが7つの動詞の活用形でした。ser(です)、estar(である)、haber(ある)、poder(できる)、tener(持つ)、hacer(する)、decir(言う)の7つです。活用形を覚えるのなら、まずこの7つの最重要動詞の活用形を覚えるのをお勧めします。その他にも、ir(行く)を活用させたvamos(行こうぜ)など、会話でよく使われる活用形のみ先に覚える方が良いと思います。
まとめです。
- スペイン語の日常会話は、1000単語で約88%、2000単語で約93%、3000単語で約94%を理解することができる。
- スペイン語初級者が覚えた方が良い語彙数は約90%を理解できる1000語。
- スペイン語初級者が無理して2000単語を覚えても理解度は5%しか上昇しない。
- スペイン語で言いたいことを流暢に話すには3000単語以上必要。
- スペイン語をネイティブのように話すには1万単語以上必要。
それぞれの目標に応じて、どこまで単語を覚えるのかを決めて、効率的な言語学習に繋げたいですね。