英語はなぜ、どのように世界共通語になったのか

地球儀

世界中で広く話されている英語は、国際語(international language)、世界言語(world language)、グローバル言語(global language)などと呼ばれています。英語は世界の約15億人に話され、政治、ビジネス、学問、科学、エンターテイメントなど、幅広い分野の共通語として使用されています。今回は「英語が世界共通語になった理由と背景」についてご紹介します。

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英語圏のイギリスとアメリカが覇権を握った

大英帝国

英語が世界言語になった最も大きな要因は、大英帝国による植民地支配の影響です。16世紀から20世紀まで続いたイギリスの植民地時代を通じて、英語が世界中の各植民地に広まったからです。また、その後に覇権を握ったアメリカが英語圏だったことも、英語の国際的な地位を確固たるものにしました。

英語のルーツについて簡単に振り返ると、西ゲルマン語に由来し、5世紀から7世紀頃に、ドイツやオランダに住んでいたゲルマン民族によって、イギリスに持ち込まれました。当時のイギリスでは、主にケルト語が話されていましたが、徐々に英語が支配的になっていきました。1066年にはノルマン・コンクエストによって、フランス語の方言の一種であるアングロ=ノルマン語がイングランドにもたらされ、古英語から中英語に発展していきます。

参照 英語の歴史を簡単に振り返る
参照 英語の語彙に影響を与えた外国語

その後、16世紀から拡大したイギリスの植民地は、20世紀前半には世界の4分の1に達し、「太陽の沈まない国」とも表現されました。このイギリスの植民地時代を通じて、英語は世界中の各植民地に広まることとなりました。その後、世界の覇権はパクス・ブリタニカ(1815~1914年)からパクス・アメリカーナ(1945年~)に移行しますが、次の覇権国のアメリカも英語圏だったため、英語の世界的な優位性は継続することとなりました。

英語が国際社会の主要言語になった

このような歴史的背景に加え、国際的なビジネスや政治で英語が採用されたことも一因です。

例えば、国連をはじめとした多くの国際機関では、英語が公用語に規定され、国際条約は一般的に英語(やフランス語)が使用されています。EUでは、2020年にイギリスが離脱しましたが、英語は今でも公用語として残っています。

参照 英語はEUの公用語ではなくなるのか?

外交や国際政治においても、英語は主要言語であり、外交官や政治家は英語に堪能であることが不可欠になっています。また、ビジネスにおいても英語は共通語であり、多国籍企業などでは英語力が求められています。日本では、楽天が2012年に英語を社内の公用語としたことで話題になりました。英語力は、国際交渉や商取引の成功を左右する、重要な要素となっています。

インターネットは英語圏で発明された

twitter

インターネットが英語圏で発明されたことも大きな要因です。

インターネットやソーシャルメディアなどのテクノロジーの発展は、日常的な英語の使用を後押ししています。例えば、スマートフォン(smartphone)、パソコン(personal computer)、ワイファイ(wi-fi)などの用語は、どれも英語に由来しています。また、ハッシュタグ(hashtag)やバズる(buzz)といった新しい言葉も次々と造語されています。この造語力の高さは、英語の特徴の1つで、最新のIT用語を含めると、英語の語彙数は100万語以上になるともいわれています。もはや英語を使わないで日常会話をするのは難しいかもしれませんね。

参照 英語にはいくつの単語があるのか

また、イギリスやアメリカの文化・音楽・映画・スポーツなどは世界中で楽しまれ、エンターテインメント業界で強い存在感を示しています。これらのソフトパワーも、英語のグローバルな普及の要因になっています。今後、英語はさらに身近な存在になっていくものと思われます。

まとめ

今回は「英語が世界共通語になった理由と背景」についてご紹介しました。

まとめ
  • 英語圏のイギリスとアメリカが覇権を握った
  • 国際政治やビジネスで英語が採用された
  • 英語圏でインターネットが発明された
  • イギリスやアメリカのソフトパワー
  • 英語の造語力と、約100万の語彙数

最後になりますが、英語が世界的な共通言語であることに、問題点がないわけでもありません。前回「英語の重要性とその問題点について」でも言及しましたが、英語の世界的な普及は、言語や文化の多様性に対する懸念も生んでいます。英語は今後とも支配的な影響力を持つと考えられますが、同時に、言語や文化の多様性を尊重することも大切になっています。

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